
「自社の商品を、いよいよお店に並べられる!でも、その前に必要な『JANコード』って何?どうやって取得して、どうやってパッケージに表示すればいいんだろう?」
新商品の開発を担当されている方や、初めてパッケージデザインを手がける方にとって、「JANコード」や「バーコード」は、最初の大きなハードルかもしれませんね。
「なんだか難しそう…」「表示を間違えたら大変なことになりそう…」「デザインの邪魔にならないかな?」
そんな不安や疑問をお持ちではありませんか?
この記事を読めば、JANコードの基本から、正しい取得方法、そしてパッケージデザインに欠かせないバーコード表示のルールまで、すべてスッキリと理解できます。
この記事では、商品の流通に不可欠なJANコード・バーコードについて、その役割といった基本の「き」から、具体的な取得方法、さらにはパッケージデザインの美観を損なわず、かつ機能的に表示するためのプロの視点をお伝えします。
読み終える頃には、あなたのJANコードに関する不安は解消され、自信を持って商品開発を進められるようになっているはずです。
それでは、さっそく見ていきましょう!
そもそもJANコード・バーコードって何?基本の「き」を理解しよう

まずはじめに、よく混同されがちな「JANコード」と「バーコード」の違いから整理しておきましょう。
JANコードとバーコードは「意味」と「見た目」の関係
とても簡単に言うと、以下のようになります。
- JANコード(ジャンコード): 商品を識別するための「13桁(または8桁)の数字」そのもの。
- バーコード: そのJANコードを、レジのスキャナーなどで機械が読み取れるように、縞模様(バー)に変換したもの。
つまり、JANコードが商品固有の「背番号」のようなもので、バーコードはその背番号を機械が読みやすいようにデザインした「ユニフォームの背番号デザイン」とイメージすると分かりやすいかもしれません。
JANコードは「Japanese Article Number」の略で、日本の共通商品コードです。どの事業者の、どの商品かを示す国際的な識別番号「GTIN(ジーティン / 国際標準の商品識別コード)」の一種なので、日本国内だけでなく、海外でも広く利用されています。
なぜJANコードは必要なの?その絶大なメリット
「うちの店だけで売るから、別にいらないんじゃない?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、JANコードを導入するメリットは計り知れません。
- POSシステムでの活用: コンビニやスーパーのレジ(POSレジ)で「ピッ!」とスキャンするだけで、商品名や価格が瞬時に表示されますよね。これにより、会計がスピーディーになるだけでなく、「いつ、何が、いくつ売れたか」という販売データをリアルタイムで収集・分析できます。
- 在庫管理の効率化: 販売データと連携することで、在庫管理や発注業務が自動化され、大幅な効率アップと人件費削減に繋がります。
- 流通の円滑化: メーカーから卸、小売店へと商品が流れていく過程で、すべての事業者が同じコードで商品を管理できるため、検品や仕分け作業が非常にスムーズになります。
今や、多くの小売店ではJANコードのない商品は取り扱ってもらえないのが実情です。自社商品をより多くの人に届けるためには、JANコードは必須の「パスポート」と言えるでしょう。
【簡単3ステップ】JANコードの取得方法と費用を解説

「JANコードの重要性はわかったけど、取得するのは大変そう…」と感じるかもしれませんが、手順さえ分かれば決して難しくありません。ここでは、「JANコード 取得」の具体的な方法を3つのステップでご紹介します。
ステップ1:GS1事業者コードの登録申請
JANコードを利用するには、まず「どの事業者の商品か」を示す「GS1事業者コード」を登録・取得する必要があります。これは、商品の製造元や販売元が、一般財団法人 流通システム開発センター(GS1 Japan)に申請することで取得できます。
【申請手続きの概要】
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 申請先 | 一般財団法人 流通システム開発センター(GS1 Japan)の公式サイト |
| 申請方法 | インターネット申請 または 申請書を郵送 |
| 登録までの期間 | インターネット申請の場合:入金確認後、通常3営業日以内にメールでGS1事業者コードを通知(通知書の郵送あり) / 郵送申請の場合:オンラインより時間がかかります(余裕を持って手続きしてください) |
登録申請料は、事業者の年間売上高と支払い年数(1年または3年)によって変動します。
【GS1事業者コード 登録申請料(3年分)の例】
※初期申請料+3年分の登録管理費の合計です。2025年8月現在の情報。最新はGS1 Japan公式ページをご確認ください。
| 年間売上高 | 3年分の合計申請料(初期申請料+3年分の登録管理費) |
|---|---|
| 1億円未満 | 27,500円 (税込) |
| 1億円以上~10億円未満 | 42,900円 (税込) |
| 10億円以上~100億円未満 | 90,200円 (税込) |
| 100億円以上~500億円未満 | 136,400円 (税込) |
一度登録すれば、複数の商品にコードを設定できるため、商品ごとに申請料がかかるわけではありません。
ステップ2:商品アイテムコードの設定
GS1事業者コードが取得できたら、次はそのコードを使って、商品一つひとつを識別するための「商品アイテムコード」を自社で設定します。
JANコード(標準タイプ13桁)は、以下の3つの要素で構成されています。
[GS1事業者コード] - [商品アイテムコード] - [チェックデジット]
- GS1事業者コードは 9桁または10桁(※既存には7桁も運用あり)
- 商品アイテムコードの桁数は、事業者コードの桁数により変わります
- 10桁のとき 2桁/9桁のとき 3桁/7桁のとき 5桁
- 最後の1桁がチェックデジット(自動算出)
例えば、GS1事業者コードが「451234567」の9桁だった場合、商品アイテムコードとして「001」から「999」までの999品目を自由に設定できます。最初のA商品には「001」、次のB商品には「002」…といった具合に、社内でルールを決めて管理しましょう。
ステップ3:チェックデジットの計算
最後の1桁は「チェックデジット」と呼ばれ、コードの読み誤りを防ぐための重要な数字です。これは、前の12桁の数字をもとに、複雑な計算式で自動的に算出されます。
「計算が難しそう…」と心配する必要はありません。流通システム開発センターの公式サイトに自動計算ツールがあるので、そちらを利用すれば一瞬で正しい数字がわかります。
これで、あなたの商品だけの13桁のJANコードが完成です!
最重要!パッケージデザイナーが教えるバーコード表示のルールと注意点

JANコードが完成したら、いよいよパッケージに「バーコード」として印刷します。ここで表示ルールを間違えると、せっかく作ったバーコードがレジで読み取れない、という最悪の事態に…。
1. 表示サイズ:基本は「100%」、縮小は「80%」が限界※
バーコードのサイズは、JIS規格で厳密に定められています。
- 基本寸法(1.0倍):縦25.93mm × 横37.29mm(左右の必要余白を含む)
- 拡大・縮小範囲:80%~200%
- 注意:小型パッケージで高さを削るトランケーションや極端な縮小は読取不良のリスクが上がります。やむを得ない場合は量産前に実機での読取検証を行いましょう。短縮タイプ(GTIN-8)は前述の条件を満たした場合のみ利用可です。
特に注意が必要なのが縮小です。小さなパッケージだと、ついバーコードも小さくしたくなりますが、80%未満に縮小すると、スキャナーで極端に読み取りにくくなります。無理な縮小は絶対に避けましょう。デザインの都合上、どうしても小さくしたい場合は、短縮タイプ(8桁)のJANコード※を利用することも検討しましょう。
※短縮タイプ(8桁:GTIN-8)を使いたい場合
GTIN-8は小型パッケージ向けの“貸与(ワンオフキー)”で、申請・審査のうえ付与されます。13桁を勝手に短縮して使うことはできません。目安として、印刷可能面積や直径など小型要件に該当する商品が対象です。
2. 色の組み合わせ:「白地に黒」が鉄則である理由
バーコードスキャナーは、黒いバー(暗い色)と白いスペース(明るい色)の光の反射率の違いを読み取っています。そのため、色の組み合わせは非常に重要です。赤系のバーはPOSスキャナー(赤色光)で背景と同化して読めないケースがあるため避けましょう。背景は淡色/バーは濃色が鉄則です。
- 鉄則: 白(または明るい暖色系)の背景に、黒(または暗い寒色系)のバー
【OKな色の組み合わせ例(※要読み取り確認)】
| 背景色(地色) | バーの色 |
|---|---|
| 白、黄、オレンジ、赤 | 黒、青、緑、濃い茶 |
【NGな色の組み合わせ例】
| 組み合わせ | NGな理由 |
|---|---|
| 背景が濃く、バーが薄い (例: 黒地に白バー) | 白黒反転したようなバーコードは、スキャナーが読み取らないことがあります。 |
| バーが赤系 (例: 白地に赤バー) | レジスキャナーは赤い光(赤色レーザー)を使っているため、赤いバーは背景の白と同じように光を反射してしまい、バーとして認識されません。 |
| コントラストが低い (例: 黄色地に白バー) | 明暗の差が少ないため、スキャナーがバーとスペースを区別できません。 |
商品の世界観に合わせて背景に色をつけたい場合も、バーコード部分だけは白場を設けるのが安全で確実な方法です。
3. 配置場所:商品の「定位置」に置く思いやり
レジの店員さんが、スムーズにスキャンできる場所にバーコードを配置するのも、大切な「デザイン」の一部です。
- 推奨される場所: 商品の裏面や側面の、平らで広いスペース。
- 避けるべき場所:
- パッケージの角や端: 印刷が欠けたり、湾曲して読み取れない原因に。
- 湾曲が激しい場所: ボトルの肩など、歪んで正しくスキャンできません。
- シワや段差、ミシン目などがかかる場所。
- 他のデザイン要素や文字に近すぎる場所。
円筒容器はバーを縦(はしご)方向にすると歪みが少なく読み取りやすくなります。ミシン目、折り罫、シワがかかる位置はNG。商品の形状を考慮し、最もスキャンしやすい「定位置」はどこか、デザイナーと相談しながら決めるのも一つです。
4. 余白(クワイエットゾーン / マージン)
バーコードの左右には、必ず一定の余白が必要です。クワイエットゾーンやマージンと呼ばれることもあります。
これは、スキャナーに「ここからここまでがバーコードですよ」と教えるための重要な領域で、左右のバーのすぐ隣に、他のデザインや文字が入り込んではいけません。
- 必要な余白: 基本サイズの場合、バーコードの左側に3.63mm以上、右側に2.31mm以上の余白が必要です。※拡大・縮小時は倍率に比例して余白も拡大・縮小してください。余白内に罫線や文字・地模様が入ると読み取りエラーの主因になります。
この余白が確保されていないと、スキャナーがバーコードの範囲を正しく認識できず、読み取りエラーの最大の原因となります。
バーコード表示はデザイン制作費にどう影響する?

さて、ここまでバーコード表示の細かなルールを見てきましたが、これがデザイン制作費にどう関わってくるのか、気になりますよね。
バーコードの生成自体は、通常デザイン費に含まれる
お客様(発注者様)に「13桁のJANコード(数字)」をご用意いただければ、それを元にデザイナーが専用ソフトで「バーコード(画像データ)」を生成するのが一般的です。このバーコード生成作業自体は、特別な追加費用をいただくことはなく、パッケージデザインの制作費に含まれていることがほとんどです。
「後からの修正」が、思わぬ追加費用を生む原因に
問題となるのは、バーコードの配置を全く考慮せずにデザインを進めてしまった場合です。
デザインがほぼ完成した最終段階で、「あっ、バーコードを入れる場所がなかった!」「ここに置くと、せっかくのデザインが台無しに…」という事態になると大変です。
- 全体のレイアウトを大幅に変更する必要が出てくる。
- ロゴやキャッチコピーの位置をずらす。
- イラストのサイズを調整する。
こうした大幅な手戻り作業は、当然ながら追加のデザイン修正費(タイムチャージ)が発生する原因となります。
コストを抑える最大のコツは、デザインの初期段階で「バーコードを配置するスペース(余白)」をあらかじめ確保しておくこと。
プロのデザイナーは、企画の最初の段階からバーコードのサイズや位置を計算に入れ、それを前提としたレイアウトを構築します。これにより、後からの無駄な修正作業や追加費用を防ぐことができるのです。
【応用編】バーコードもおしゃれに!クリエイティブなデザインの可能性
「ルールは分かったけど、やっぱりバーコードって無機質で、デザインの邪魔に感じる…」
そんな感度の高いあなたに、最後に応用編として、バーコードを逆手にとったクリエイティブなデザインのヒントをご紹介します。
ルールを守り、読み取り精度を担保した上で、バーコード自体をデザインの一部として溶け込ませるテクニックがあるのです。
- 滝に見立てる: 黒いバーを滝の流れのようにデザインする。
- 木の幹にする: バーコードを木の幹に見立て、そこから枝葉が伸びるイラストと組み合わせる。
- 洋服のハンガーにする: バーコードをハンガーラックに見立て、洋服のイラストを吊るす。
こうした遊び心のあるデザインは、商品の世界観をより豊かに表現し、消費者に驚きや楽しさを与えることができます。
ただし、こうしたデザインバーコードは、非常に高度な知識と技術を要します。誤検知で商品が回収されるトラブルに発展した事例も実際にあります。どこまで変形させると読み取れなくなるのか、その境界線を見極めるには、バーコードの規格と印刷特性の両方を熟知している必要があります。
JANコードの運用面で考えると、イラストなどの装飾を加えることは「余白」を確保するという原則に反するという点、レジ担当者がバーコードを発見しづらい可能性等、こうした加工は推奨しないという立場のデザイナーもいます。
まとめ – JANコードは商品のパスポート。正しい知識で売れるパッケージを作ろう!

今回は、JANコード・バーコードの基本から、デザイン上の注意点、そして制作費への影響まで、幅広く解説してきました。
最後に、この記事のポイントをもう一度おさらいしましょう。
- JANコードは商品を識別する「数字」、バーコードはそれを機械で読み取るための「縞模様」。
- JANコードの取得は「GS1事業者コード登録 → 商品アイテムコード設定 → チェックデジット計算」の3ステップ。
- バーコード表示で守るべき4大ルールは「サイズ」「色」「配置場所」「余白(クワイエットゾーン)」。
- デザイン制作費を抑えるコツは、設計の初期段階でバーコードの配置場所を確保しておくこと。
- 特殊な試みではあるが、バーコードをおしゃれなデザイン要素として活用することも可能。
JANコード・バーコードは、あなたの商品が世に出て、多くの人の手に渡るための大切な「パスポート」です。一見、地味で制約の多いルールに感じるかもしれませんが、これを正しく理解し、デザインに活かすことが、結果的にスムーズな流通と販売成功に繋がります。
「やっぱり、自社だけでは不安…」
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