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と言うたびに、ほんの少しだけ心の中で注釈を足したくなります。

グラフィックデザイナーで、Photoshopの本を一冊出させてもらったことがあって、自分のWebサイトを運営していて、最近はAIを使って簡単なツールを作っては公開する…みたいな遊びをしています。

ここまで並べると、それなりに色々やっている人みたいに見える気がします。実際、自己紹介の場ではこういう並べ方をすることもあります。ただ、並べながら自分で一番よく分かってることがあります。

どれも、そんなに深くないんですよね。

 

本は出したが、Photoshopに精通しているわけではない

本を出したのは何年か前で、Photoshopのちょっと変わった使い方を紹介する、【ズボラPhotoshop】というわりとゆるめのハウツー本でした。タイトルにも「ズボラ」という言葉が入っているくらいで、真面目にがっつりPhotoshopを語る本ではありません。

それでも「本を出している人」と紹介されることがありますが、その度に、ちょっとこそばゆい気持ちになります。本を出したのは事実なのですが、そこから逆算されて「じゃあPhotoshopにものすごく詳しいんですよね」と期待されると、正直なところ申し訳なくなってきます。

僕より深くPhotoshopを触っている人は、本当にたくさんいます。レタッチの現場で日々戦っている人、ブラシやアクションを自作して配布している人、チュートリアル動画で何万人にも教えている人。そういう人たちの話を横から聞いていると、自分が知っているのは本当に表層のごく一部だなと思い知らされます。

「本を出している」という肩書きは、便利な一方でちょっと重たいときもあります。

 

Web集客はしているが、SEOの専門家ではない

SEO専門家

自分のWebサイトをメディアっぽく運営していて、そこからお仕事につながることも多いです。そういう意味では、Web集客をしていると言って間違いではないと思います。(実はこのブログも、”デザイナー ブログ” の検索でかなり上位に出ます)

ただSEOについて聞かれると、とたんに歯切れが悪くなります。基本的なことは分かっているつもりですが、アルゴリズムのアップデートに細かく追従しているわけではないし、分析ツールを使い倒しているわけでもありません。仕事の合間に「そういえば最近どうなってるんだっけ」と検索して、後追いで国内外の専門家情報を仕入れることがほとんどです。

SEOを本業にしている人たちの発信を見ていると、解像度がまるで違います。何か一つのキーワードについて、検索意図の分解、競合ページの構造、リンクの張り方まで、丁寧に腑分けして語られていますが、あのレベルで考えたことは、正直ありません。

自分のサイトは、書きたいことを書いて、必要そうな構造を整えて、あとは放っておく…くらいの運営です。それで細々と読んでくれる人がいて、仕事につながるので、運が良いなと思います。ただこれを「Web集客のノウハウ」として語れるほどのものは手元にありません。

 

AIと遊んではいるが、それ以上ではない

最近はAIを使って、小さなツールを作っては自分のサイトに置いて公開する…みたいなことをしています。デザイナーが日常で「これちょっと面倒だな」と思う作業を、ちょこっと省ける程度のものです。ゲームだったりふざけたものもいくつかあります。

これも「遊んでいる」が正確な表現だと思っています。腰を据えて機械学習を勉強しているわけでもなく、LLMの仕組みを深く理解しているわけでもない。動いたら嬉しい、壊れたら直す、面白がってくれる人がいたら嬉しいかな…くらいの距離感で触っています。

AI関連の発信をしている人たちの中には、論文を読み込んでいる人、自分でモデルをチューニングしている人、ビジネスとして本気で張っている人がたくさんいます。そういう人たちから見れば、僕がやっていることはほぼお絵描きの延長で、技術的に見るべきところはあまりないと思います。

それでも作っていると楽しいので、作っているという感じですね。

 

隅っこの解像度が、年々上がっていく

スモビジ

こうして並べてみると、自分のやっていることは全部「◯◯をやっている、ただし△△ではない」という構造をしています。本を出している、ただしPhotoshopに精通しているわけではない。Web集客をしている、ただしSEO専門家ではない。AIで遊んでいる、ただしそれ以上ではない。

この「ただし」の部分が、年々はっきりしてきている気がします。

若い世代の作品や発信がSNSで流れてくるたびに、本当にすごいなと思います。ツールの使いこなしも早いし、アウトプットの量も質も高い。自分が同じ年齢のときにこんなに手が動いていたかと考えると、胸を張れる答えは出てきません。同世代の中にも、一つの分野を深く掘り下げて、その道の人として名前が通っている人が何人もいます。

そういう景色を見ていると、自分は広い業界のかなり隅っこにいるなぁと思います。中心にいる人たちの光が強くなるほど、隅っこの陰影もはっきりしてきます。

昔はこの感覚がもう少し薄ぼんやりしていて、「まあ自分もそのうち何かの専門家になるのかな」くらいに思っていた気がします。今はもう、たぶんならないだろうな…と思っています。ならないまま、色々なものを浅く触りながら、その浅さで食べていくのだろうなと。

隅っこで、細々と、続けていく

これを書いていて、別に悲観しているわけでもないなと気づきます。

隅っこにいることを自覚していると、背負わなくていい期待から少し自由になれます。Photoshopの第一人者ではないので、最新機能を全部追わなくても罪悪感は少ないです。SEO専門家ではないので、アルゴリズムが変わるたびに焦らなくて済みます。AIの第一線ではないので、明日どんな新モデルが出ても「へー」と言って眺めていられます。

中心にいる人たちは、たぶんその場所を守るだけでも相当な労力を使っているはずです。隅っこにいる分の気楽さは、たしかにあります。

そして隅っこには隅っこの仕事があります。どの分野も中途半端だからこそ、分野をまたいだ距離感で物を見れることはあるかもしれません。本を書いた経験があるからデザインを言葉にできる、Webを運営しているから作ったものを自分で出せる、AIをちょっと触っているから新しい道具を怖がらずに試せる。一つひとつは浅いまま、組み合わせて何か形にできる範囲で、細々とやっていくぞと。

肩書きを一つに絞れない歯がゆさは、たぶん今後もあると思います。「何の人ですか」と聞かれると、相変わらず少し口ごもる気がします。

それでも、隅っこで細々と…は、自分にはちょうど良い言葉だなと感じています。中心に行けなかったというより、中心じゃない場所で手を動かしているのが性に合っていた…という感じ(と言いたい感じ)。

本当に、専門家基準なら、僕は何も分からないままやっているのと同義ではなかろうか。たぶんこの先も、だいたいそんな感じでやっていきます。

 

本を出しているがPhotoshopに精通しているわけでもなく、Web集客しているがSEO専門家と名乗れる程ではなく、最近ちょっとAIと遊んでいるだけのグラフィックデザイナーです。業界の隅っこで細々とやっております。何も、何も分からない…。

X (Twitter) – Dec 17, 2025

この記事は過去の自分のX(Twitter)のポストを元に、編集しています。

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トミナガハルキ

グラフィックデザイナー/AMIX 代表。独学でデザインを学び、パッケージメーカー→美容系ベンチャー→家庭用品メーカーでのデザイン・広報運営を経て独立。現在は小さな事務所を拠点にASOBOAD等のサービスを運営し、ロゴ・パッケージ・広告物を中心に制作しています。著書『#ズボラPhotoshop 知識いらずの絶品3分デザイン』は各カテゴリでベストセラーを獲得。2020年Adobe Creative Residency選出。ブログでは、10年以上の実務から学んだことや働き方のヒントを等身大の視点で発信しています。