
デザインやクリエイティビティを発揮する仕事は、作品を通して顧客との信頼関係を築きます。信頼を得ることで中長期的に仕事を受注しやすくなり、安定した関係を構築することができます。デザイン事務所がクライアントと関係を構築する際は、次の6つのポイントについておさえておくと良いでしょう。
コミュニケーションを大切にする

クライアントとコミュニケーションをとることで、顧客の期待値や求めているものを把握することができます。また、対話を重ねることで互いに人となりが分かるようになり、クライアントがデザイナーを一人の人間として尊重しやすくなるはずです。
そのためには、定期的なミーティングを設定し、プロジェクトの進捗状況を共有しましょう。また、電話やメール、チャットツールなど様々なコミュニケーション手段を活用して、クライアントとの距離を縮めていくことが大切です。
クライアントとの関係を壊す最大の原因は「期待値のズレ」
デザイン事務所とクライアントの関係が悪化する原因の大半は、デザインの出来栄えではなく「期待値のズレ」です。クライアントは「こういうものが上がってくるだろう」と期待し、デザイナーは「こういう方向性で作ればいいだろう」と解釈する。この2つがズレていると、初稿を見た瞬間に「全然違う…」となります。
ズレを防ぐ最も効果的な方法は、制作に入る前に「この方向性で進めます」という認識合わせのステップを挟むことです。ムードボード(参考画像のコラージュ)、ラフスケッチ、カラーパレットの提案など、本制作に入る前に「方向性の確認」を行う。このワンクッションがあるだけで、初稿の修正回数が劇的に減ります。
「最初にしっかり合意を取ること」は一見遠回りに見えますが、結果的に制作全体のスピードと満足度を最も高める投資です。
誤魔化しや偽りなく真実を伝える

対人関係の基本と言えることですが、案件のことで嘘をついたり、本来共有すべき情報を隠したりすることは、信頼関係を破壊することになります。
伝え方に注意が必要な情報もありますが、クライアントには常に真実を述べて、誤魔化すことのないようにしましょう。
透明性を持ち、適切なタイミングで情報を共有することが信頼関係を築く上で重要です。また、問題が発生した際には、早期に対処し、クライアントに正直に報告することが大切です。
クライアントのニーズに応える

クライアントが何を求めているか、ニーズに応えることは大切です。クライアントの要望から、望むデザインや納期などをヒアリングして、実際の仕事に落とし込んでいく必要があります。
また、クライアントの業界やターゲット層に関する理解も深めることで、より適切な提案ができるようになります。適切な質問を投げかけ、リサーチを行い、クライアントのニーズを的確に把握することで、関係構築や維持に役立ちます。
クリエイティブなアイデアを提供する

クライアントがデザイン事務所に望むのは、自社からは出てこない発想、クリエイティブなアイデアです。
クライアントのニーズに合致していながらも、そのデザイナー(デザイン事務所)しか出せないオリジナルなアイデアを提供することで、クライアントの信頼を得ることができるはずです。
新しい技術やトレンドにも敏感になり、時代に合わせた斬新なアイデアを取り入れることが重要です。さらに、チーム内でアイデアを共有し、ブレインストーミングを行うことで、さらに豊かなアイデアが生まれることでしょう。このような独自性と創造性を持つデザイン事務所は、クライアントにとって魅力的であり、長期的な関係が築けるでしょう。
デザイナーから「ノーと言える関係性」のほうが、結果的に良い仕事になる
クライアントワークで陥りやすいのが、「言われたことを全部やる」というスタンスです。これは一見、丁寧で誠実に見えますが、実は長期的には双方の不満につながりやすい関係性でもあります。
クライアントの要望には、本質的なニーズと、表面的な思いつきの両方が含まれています。すべてを言われた通りに実行してしまうと、思いつきの修正が積み重なった結果、最初の本質的なニーズから遠ざかってしまう、ということが起こります。プロとして関わる以上、「この修正は本質的に効くのか」「もっと効果的な選択肢はないか」という視点で対話することが、クライアントへの本当の貢献につながります。
「ノー」を伝えるときは、単に否定するのではなく、「Aの理由でこの方向は懸念があります。代わりにBを提案します」という形で、根拠と代替案をセットにします。クライアントの方が「専門家として意見を言ってくれる」と感じる関係性は、長期のパートナーシップに発展しやすくなります。受ける立場でも、対等な対話ができる関係性が、結果として成果物の質を高めていきます。
納品の締切を守る

クライアントは、納品期限に完成することを当たり前と考えています。締切は必ず守るようにして、不可抗力によってそれが叶わない場合はなるべく早く相談するようにしましょう。
また、打ち合わせの遅刻、プレゼンの提出遅れも当然ながら厳禁です。時間管理を徹底し、進捗状況を把握し、必要に応じてスケジュールの調整や効率的な作業方法を見直すことが重要です。
柔軟に対応する

クライアントからの要望は、しばしば変更を伴います。変更は、納期のスケジュールであったり、予算であったり、デザインのコンセプトそのものだったりすることもあります。
無理難題や対応範囲を超えた変更は受けることができませんが、ある一定レベルまでは許容してフレキシブルに対応する方が信頼されます。
そのためには、クライアントとのコミュニケーションを密に保ち、変更要望をすぐにキャッチし、適切な方法で対応することが求められます。また、変更に伴うリスクやコストを明確に伝え、共同で問題解決に取り組む姿勢もクライアントに安心感を与えるでしょう。
顧客の信頼は一日にしてならず

以上、6つのポイントは実行したからといってすぐに良好な関係を構築できる、魔法の技ではありません。
これらのポイントに留意してコツコツと丁寧なコミュニケーションを積み重ねていくことで、クライアントとの信頼関係を築き、長期的に維持することができます。優れたデザインだけでなく、顧客へサービスを提供するという意識が重要です。
クライアントと安定した長期的な関係を築くことで、デザイン事務所としての成長も見込むことができるでしょう。クライアントとの関係構築は、事務所の成長戦略にもつながっているのです。
時には失敗もあるかもしれませんが、そんな時こそ真摯に対応し、改善を続けることが大切です。このような姿勢が、クライアントから信頼を勝ち取り、デザイン事務所としての評価を高めることにつながるでしょう。最終的には、信頼関係の中で継続的なビジネスが展開でき、双方にとって価値のある関係が築けます。
リピートにつながる関係性は「制作後のフォロー」で決まる
デザインの納品後、「ありがとうございました」で関係が終わるケースと、「その後、チラシの反応はいかがでしたか?」と一声かけるケースでは、リピート率がまるで違います。
制作後のフォローは、デザイナー側にとっても「自分の制作物がどう使われ、どんな成果を生んだか」を知る貴重な機会です。「チラシを配った結果、問い合わせが増えました」というフィードバックがあれば、次回の制作に活かせます。「反応がイマイチでした」というフィードバックがあっても、「次回はこういうアプローチを試しましょう」と改善提案ができ、クライアントの信頼につながります。
「作って終わり」ではなく「作った後も気にかけている」。この姿勢が、一度きりの取引を長期的なパートナー関係に変える鍵です。
まとめ
デザインの仕事では、クライアントとの信頼関係が重要です。信頼を得ることで、中長期的に仕事を受注しやすくなります。デザイン事務所がクライアントと関係を構築する際は、次の6つのポイントに留意しましょう。
まず、コミュニケーションを大切にして顧客の期待値や求めているものを把握しましょう。真実を伝えることが信頼関係を築くために必要です。クライアントのニーズに応えて、クリエイティブなアイデアを提供することで、信頼を得ることができます。納期や打ち合わせの遅刻は厳禁です。最後に、クライアントからの要望に柔軟に対応することで、信頼を得ることができます。以上のポイントに留意し、コツコツと丁寧なコミュニケーションをとりましょう。
▶︎ デザイン制作実績を見る / ▶︎ デザインのブログ記事一覧 / ▶︎ デザイン制作のガイド・媒体の特徴