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ちょっと「おバカ」な広告キャンペーンについて

思わず笑って記憶に残る。「おバカ」な広告に学ぶ、心を掴むアイデアの作り方


ちょっと「おバカ」な広告キャンペーンについて

広告やデザインには、人の目を引き、記憶に焼き付けるインパクトが欠かせません。その表現方法は、美しさや新しさ、時には恐怖や悲しみといった感情に訴えかけるものまで様々です。中でも、思わず「クスッ」と笑ってしまうようなユーモアあふれるアイデアは、ブランドに対して親近感を抱かせ、強く印象付けるパワーを持っています。

今回は、「そこまでやるか!」という驚きと共に、思わず笑顔になってしまうような、海外のユニークな広告キャンペーンを2つご紹介します。これらの事例から、人々の心を掴むクリエイティブのヒントを探っていきましょう。(※紹介する広告デザインは当サイトの制作事例ではありません)

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本家を喰らうほどの衝撃?KFCが見せた「辛さ」のビジュアル表現

広告デザイン作例を見る (via Pinterest)

最初にご紹介するのは、ケンタッキーフライドチキン(KFC)が展開した、あまりにも斬新な広告ビジュアルです。

このキャンペーンは、2018年に香港で展開された「ホット&スパイシーチキン」のもの。アジアの7つの国と地域で売上No.1を記録した大人気商品の魅力を、いかにして伝えるか。その答えが、世界的広告代理店オグルヴィ香港の手によって生み出されました。

燃え盛る炎を「チキン」で表現する大胆な発想
公開されたビジュアルは3種類。スペースシャトルの発射シーン、猛スピードで駆け抜けるドラッグレーサー、そして爆炎を背にポーズを決める戦隊ヒーロー。どれもパワフルで、商品の「ホット&スパイシー」なイメージを連想させます。

しかし、よく見てみると、その燃え盛る炎や噴射ガスが、すべてフライドチキンで表現されているのです。

スペースシャトルの噴射炎は、カリカリに揚がった手羽(ウイング)や胸(キール)のようです。ドラッグレーサーが巻き上げる爆煙も、よく見ればチキンの集まり。ヒーローたちの背後で燃え盛る炎に至っては、もはや溶岩のようにも見えますが、その中には腰(サイ)や脚(ドラム)といった部位が隠されています。

この「辛さ=炎」という単純な連想を、まさか商品そのもので表現してしまうとは。その大胆すぎるアイデアと、細部までこだわり抜いたレタッチ技術の高さは、見る人に強烈なインパクトと「やられた!」という笑いをもたらしました。

このキャンペーンは、広告界のカンヌ映画祭とも称される「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」をはじめ、数々の一流広告賞を受賞。世界中のクリエイターたちを唸らせました。

有名コンテンツをパロディ化した第2弾

1. 広告デザイン作例を見る (via Pinterest)

2. 広告デザイン作例を見る (via Pinterest)

その成功は一度きりでは終わりませんでした。翌2019年には、キャンペーン第2弾が展開されます。今度は、世界的に有名な映画やドラマのワンシーンを「本歌取り」する手法です。

大人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』でドラゴンが炎を吐くシーンや、伝説的ロックバンドの伝記映画『ザ・ダート: モトリー・クルー自伝』の象徴的なシーンなどが、見事にフライドチキンで再現されました。元ネタを知っている人なら、思わずニヤリとしてしまうことでしょう。

このシリーズも再び多くの広告賞を獲得し、KFCの「ホット&スパイシーチキン」のイメージを確固たるものにしました。

これらのビジュアル制作を実際に手掛けたのは、タイ・バンコクを拠点とするCGIスタジオ「Illusion」です。「傑作を作る」をモットーに掲げる彼らの圧倒的な技術力が、この「おバカ」で最高にクールなアイデアを支えているのです。

 

退屈な時間を「最高のブランド体験」に変えたハインツの逆転劇

次にご紹介するのは、ケチャップでおなじみの世界的ブランド、ハインツ(Heinz)がカナダで実施したキャンペーンです。彼らが作ったのは、なんと「真っ赤なジグソーパズル」でした。

すべてのピースが「ハインツレッド」。世界一難しい(?)パズル
2020年5月、クラフト・ハインツ・カナダは、特別なプレゼントキャンペーンを発表しました。新型コロナウイルスの影響で、多くの人々が家で過ごす時間を余儀なくされていた時期のことです。アナログなゲームの需要が高まる中、ハインツは自社のファンに向けて、ユニークなジグソーパズルを制作しました。

そのパズルは570ピース。しかし、驚くべきことに、すべてのピースが同じ「ハインツケチャップの色」、つまり真っ赤なのです。完成しても、そこに広がるのはただの真っ赤な板。絵柄というヒントが一切ないため、完成させるのは至難の業です。おそらく、世界で最も時間のかかるジグソーパズルの一つと言えるでしょう。

一見すると、ただの奇をてらった「おバカ」な企画に見えるかもしれません。しかし、このパズルには、ハインツのブランド哲学と深く結びついた、非常にクレバーなメッセージが隠されていました。

「slow」という弱点を「価値」に変えたブランドストーリー

ハインツのケチャップには、その濃厚さゆえのある有名なエピソードがあります。かつて、消費者から「ボトルからソースが出てくるのに時間がかかる」という苦情が寄せられたことがありました。通常であれば、製品の欠点として改良を目指すところです。

しかし、ハインツの対応は違いました。彼らはそれを「濃厚さの証」と捉え直し、「私たちのケチャップは、リッチで濃厚だから、出てくるのに時間がかかる(slow)のです」と堂々とアピールする広告キャンペーンを展開したのです。

この逆転の発想は見事に成功し、以来「slow」は、ハインツケチャップの品質と信頼性を象徴するキーワードとなりました。

時間がかかる=良いこと。パズルに込められたメッセージ

今回の真っ赤なパズルは、まさにこの「slow」というブランドの資産を体現したものでした。

完成までに途方もない時間がかかるこのパズルは、「良いもの(濃厚なケチャップソース)はじっくり待つ価値があるように、ゆっくりと時間をかけて楽しむこともまた、豊かなことなのですよ」というメッセージを、消費者に「体験」として伝えているのです。

退屈な「おうち時間」を、ブランドの哲学に触れる「特別な体験」へと昇華させた、見事なアイデアと言えるでしょう。

ちなみに、このパズルが570ピースであることにも意味があります。ハインツには「57種類(57 Varieties)」という有名なキャッチコピーがあり、「57」はブランドにとって特別な数字なのです。このパズルは、幸運な57名にプレゼントされました。

 

まとめ – ユーモアの裏に隠された、緻密な戦略

笑う企画

今回ご紹介した2つのキャンペーンは、一見すると突拍子もない「おバカ」なアイデアに見えるかもしれません。しかし、その裏側には、ブランドの持つ価値や哲学を深く理解し、それを最も効果的に伝えるための緻密な戦略が隠されています。

  • KFCの事例:「ホット&スパイシー」という商品の核心的価値(コアバリュー)を、「炎=チキン」という大胆なビジュアルメタファー(視覚的な比喩)で表現し、強烈なインパクトを生み出した。
  • ハインツの事例:「slow」というブランドの象徴的なキーワードを、「時間のかかるパズル」という体験型コンテンツに落とし込み、消費者にブランドストーリーを追体験させた。

どちらの事例にも共通しているのは、「伝えたいことを、誰も思いつかない方法で、面白く伝える」というクリエイティビティの本質です。

ただ奇抜なだけでなく、その表現がブランドや商品の本質としっかりと結びついているからこそ、これらの広告は人々の心を掴み、記憶に残り、さらにはSNSでシェアされるなど、大きなムーブメントを生み出すことができたのです。

私たちが広告やデザインを考える上でも、この「ユーモアの力」と「戦略的な視点」は大きなヒントを与えてくれます。人々を笑顔にし、ブランドのファンになってもらうためのアイデアは、常識を少しだけ疑ってみる、そんな遊び心から生まれるのかもしれません。

広告デザインの費用について

 


【参考】
KFC Hot & Spicy Campaign by Ogilvy | Daily design inspiration for creatives | Inspiration Grid – https://theinspirationgrid.com/kfc-hot-spicy-campaign-by-ogilvy/
Heinz Direct Advert By Rethink: Ketchup Puzzle | Ads of the World™ – https://www.adsoftheworld.com/media/direct/heinz_ketchup_puzzle

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この記事について

執筆: ASOBOAD編集部

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