
「自分では『いい感じ』の配色に見えていたのに、ユーザーから『文字が読みにくい』『グラフの違いが分からない』と言われてしまった……」
そんな経験はありませんか? 実は洗練された淡い色使いや、スタイリッシュな配色ほど、見る人の環境や特性によっては「情報の伝達事故」を起こしやすいものです。
今回はデザイン事務所AMIXが公開しているツールの中から、公開前のたったひと手間で安心度が劇的に変わる「色チェック」ツールを2つご紹介します。
1. デザインの“見え方の違い”を可視化する
色覚多様性シミュレーター
日本男性の約20人に1人、女性の約500人に1人は、特定の色が見分けにくい色覚特性を持っていると言われています。このツールを使えば、あなたの作った画像が「多様な目」にどう映っているか、一目で確認できます。
主な機能: 画像をアップロードするだけで、一般色覚(C型)に加え、P型・D型・T型・A型といった異なる色覚タイプでの見え方を並べて表示・保存できます。
こんな時に便利:
- 告知画像やバナー: 文字が背景に埋もれていないかチェックする。
- 図解やグラフ: 「赤と緑」など、混同しやすい色が重要な情報の区別に使われていないか洗い出す。
2. 「読めるかどうか」を数値でジャッジ
コントラスト比チェッカー
「雰囲気重視で薄いグレーの文字にしたら、スマホの画面輝度によっては全く読めなかった」。そんな失敗を防ぐのがこのツールです。背景色と文字色のコントラスト比(明度差)を瞬時に判定し、可読性を担保します。
主な機能: 背景色と文字色を指定し、WCAG(Webコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)に基づいたコントラスト比を判定。
こんな時に便利:
- Webサイトの本文テキストや、重要な注釈の可読性チェック。
- ボタンの上に載せる文字色が、白抜きが良いか黒文字が良いか迷った時。
「おしゃれな配色」と「伝わる配色」は別の話
デザイナーとして率直に言うと、アクセシビリティを意識した配色設計と、トレンド感のある配色は、しばしば衝突します。たとえば近年のWebデザインでは、淡いパステルカラー同士の組み合わせや、背景と文字のコントラストを抑えた「ミニマルな空気感」が好まれる傾向にあります。見た目は洗練されていますが、コントラスト比を計測するとWCAGの基準を満たしていないケースが頻発します。
こうしたツールの価値は、「おしゃれだけど読めない」を数値で突きつけてくれる点にあります。デザイナーの感覚だけで判断していると、「自分のモニターでは読めたから大丈夫」と思い込みがちですが、モニターの輝度や周囲の照明、ユーザーの年齢によって見え方はまったく変わります。
制作フローに色チェックを組み込むことで、「見た目の好み」と「伝達の確実性」を両立させるための判断材料が増えます。アクセシビリティは制約ではなく、デザインの精度を上げるための基準線だと捉えると、取り組みやすくなるのではないでしょうか。
【Pro Tip】事故ゼロを目指す「鉄板チェックフロー」

アクセシビリティチェックには、効率的かつ確実な「順序」があります。AMIXでは以下のフローをおすすめしています。
Step 1:まずは「コントラスト」を見る
どんなに色が区別できても、文字として読めなければ意味がありません。まずはコントラストチェッカーで、誰にとっても「読める明るさの差」があるかを確保します。
Step 2:次に「色覚シミュレーション」を通す
可読性を確保した上で、色覚シミュレーターを使います。「色の違い」だけで情報を伝えようとしていないか、異なる色覚でも区別がつくかを確認します。
▶︎ デザイン制作実績を見る / ▶︎ デザインのブログ記事一覧 / ▶︎ デザイン制作のガイド・媒体の特徴