はじめに ─ 情報は「ある」だけでは伝わらない

パンフレットに必要な情報をすべて盛り込んだのに、読み手の反応がいまひとつ——。そんな経験はありませんか。原因の多くは、情報の「質」ではなく「設計」にあります。

どれだけ価値のある情報でも、読み手がどこから読めばいいかわからなかったり、大事なポイントが埋もれてしまっていたりすれば、その価値は半減します。パンフレットにおける「情報設計」とは、読み手の目の動きと思考の流れに沿って情報を配置することです。

この記事では、パンフレットの情報設計を改善するための具体的な考え方と実践テクニックをご紹介します。

パンフレットの作成依頼について

読み手の「視線の流れ」を意識する

人がパンフレットを手に取ったとき、視線は無意識にある法則に従って動きます。横書きの場合は「Z型」(左上→右上→左下→右下)、縦書きの場合は「N型」(右上→右下→左上→左下)が基本とされています。

この視線の流れに逆らわない配置を心がけるだけで、情報の伝わりやすさは大きく変わります。

たとえば、最も伝えたいメッセージは「左上(横書きの場合)」に置く。CTAボタン(問い合わせ先や申し込み方法)は「右下」に配置する。こうした基本を押さえるだけで、読み手は自然にパンフレットの意図通りの順番で情報を受け取ってくれます。

情報に「優先順位」をつける勇気を持つ

パンフレットを読む人たち

パンフレットの紙面は有限です。A4三つ折りなら6面、二つ折りなら4面。限られたスペースにどの情報を載せ、どの情報を削るか。この判断が、パンフレットの出来を9割方決めるといっても大げさではありません。

情報の優先順位をつけるには、次の3つの問いが役に立ちます。

1. 読み手が最初に知りたいことは何か?(→表紙や冒頭に配置)

2. 読み手の行動を促すために必要な情報は何か?(→中面の核となる部分に配置)

3. 読み手が最後に確認したいことは何か?(→裏表紙や末尾に配置)

すべてを等しく重要として扱うと、結果的に何も目立たないパンフレットになります。「これだけは伝える」を最初に3つ決めて、そこを入口に構成を組み立てていくと、全体の骨格がしっかり定まります。

グルーピングと余白で「読みやすさ」を設計する

関連する情報をまとめ(グルーピング)、グループ間に適切な余白を設けることは、情報設計の基本中の基本です。しかし、実際には「せっかくのスペースがもったいない」と余白を埋めてしまうケースが非常に多く見られます。

余白は「何もない空間」ではなく、情報の区切りを視覚的に伝えるデザイン要素です。

具体的には、以下の原則を意識してみてください。

  • 近接の原則:関連する項目は近くに配置する(サービス名と説明文、写真とキャプションなど)
  • 分離の原則:異なるカテゴリの情報は余白やラインで明確に区切る
  • 整列の原則:テキストや画像の端を揃える。肉眼では気づきにくくても、整列が崩れると全体に「雑然とした」印象を与えます

見出しは「内容の要約」であるべき

パンフレットを最初から最後まで隅々まで読んでくれる人は、残念ながらごく少数です。多くの読み手は見出しだけを拾い読みして、興味のある部分だけ本文を読むという行動を取ります。

だからこそ、見出しには「その下に何が書いてあるか」が一目でわかる表現が求められます。

たとえば「サービスについて」という見出しよりも、「月額9,800円から始められるサポートプラン」の方が具体的で、読み手の興味を引く力があります。見出しだけを並べて読んでも、パンフレット全体の内容がざっくり把握できる——それが理想的な見出し設計です。

CTA(行動喚起)は迷わせない設計に

パンフレットの最終目的は、読み手に何らかの行動を起こしてもらうことです。問い合わせ、来店予約、資料請求、Webサイトへのアクセスなど、ゴールはさまざまですが、共通して言えるのは「次に何をすればいいか」を明確にすることの重要性です。

CTAの設計でよくある失敗は、選択肢が多すぎること。電話番号、メールアドレス、LINE、QRコード、ホームページURL……。すべてを並列に置くと、読み手はどれを選べばいいか迷い、結局どれも選ばない可能性があります。

最も利用してほしい手段を視覚的に目立たせ、他の連絡先は小さめに添える。こうした優先順位の設計が、行動喚起率を左右します。

ページの「めくり体験」をデザインする

パンフを読む人たち

パンフレットは本と同じく「ページをめくる」メディアです。めくるたびに新しい情報に出会う体験をデザインするという発想が、紙面に動きとリズムを生み出します。

  • 表紙:興味を引くキービジュアル+最も大きな約束(ベネフィット)
  • 1ページ目:課題の提示。「こんなお悩みはありませんか?」のような共感ポイント
  • 中面:解決策の提示。サービス内容や特長を具体的に紹介
  • 終盤:実績や事例、お客様の声で信頼を補強
  • 裏表紙:CTA(電話番号、QRコードなど)+会社情報

この流れは、営業トークの「起承転結」と同じ構造です。対面で説明するときの自然な話の流れをパンフレットに落とし込む、というイメージで構成を考えると、読み手にとってスムーズな体験になります。

まとめ ─ 情報設計は「読み手への思いやり」

パンフレットの情報設計は、特殊な技術ではなく、読み手の立場で考える想像力が土台になります。自分がこのパンフレットを初めて手に取ったら、何を知りたいと思うか。どこに目が行くか。何をきっかけに行動を起こすか。

その一連の体験を意図的に設計することが、「読まれ、行動を促す」パンフレットへの第一歩です。次の制作では、情報を載せる前にまず「どう並べるか」を考えるところから始めてみてはいかがでしょうか。

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執筆・編集ASOBOAD編集部

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