近年の企業ロゴに最も使われている色はブルーですが、オレンジ色はその正反対の性質を持つ色です。あえてオレンジ色をそのシンボルとして使用する企業が目指すイメージは、どこにあるのでしょうか?
オレンジは暖かい印象を持つ色です。この色を選ぶ企業に共通する方向性は、理性よりもポジティブな感情、情熱に訴えかけるということです。ブランドイメージのあるバイク、スポーツ、携帯通信、販売、航空などに見られます。1番手の企業がブルー系を使っている場合、差異化戦略としてオレンジを使っていくケースもあるようです。代表的な事例を見ていきましょう。
ハーレーダビッドソン(HARLEY-DAVIDSON)のロゴデザイン
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ハーレーダビッドソン社はアメリカのオートバイメーカー。創業100年を超える歴史を持つ会社です。ハーレーとダビッドソンのふたりが情熱的に取り組んだバイク造りがその発祥となっています。その情熱は世界中に熱狂的なファンを生み続けてきました。大型バイクが持つ夢とロマンを象徴する、情熱のオレンジ色なのです。
初期のハーレーダビッドソンのロゴはもう少し赤に近い朱色ではじまり、いくつかの変遷を経て、1980年頃から「バーアンドシールド」と呼ばれる現在のデザインが主流になりました。モーターサイクル(オートバイ)と書かれた盾(シールド)に、社名が入ったバーを組み合わせた形になっています。オートバイのタンクにエンブレムとして付くロゴもデザインされており、様々なバリエーションがあります。
ジェットスター(Jetstar)のロゴデザイン
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ジェットスター航空はオーストラリアのカンタス航空が設立したLCC(格安航空会社)です。イギリスのヴァージン・グループがLCC事業に乗り出し、オーストラリアのLCCだったパシフィック・ブルーを吸収したヴァージン・ブルーが成長し始めた頃、これに対抗して2004年から設立されました。ヴァージン・グループのロゴは赤ですが、ヴァージン・ブルーのロゴはこれに青い「ブルー」が加わり、青い機体のジェットも運行していたようです。これに対抗したカンタス航空は、従来のカンタスのロゴの赤色ではなく、ブルーの補色である明るいオレンジ色をキーカラーに採用し、LCC事業においてヴァージン・ブルーを追撃する態勢を整えたのです。
社名のJetstarの後に★印を付けたデザイン、ポピュラーなタイプのサンセリフ書体が使われています。飛行機の尾翼に入れるケースではJet★と省略し、★の部分をオレンジに配色しています。この省略で文字を大きくレイアウトできるため、遠距離からの認知率が上がり、効果的なデザインになっています。
シャオミ(Xiaomi/小米科技)のロゴデザイン
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シャオミは「中国のスティーブ・ジョブズ」と呼ばれた雷軍(レイ・ジュン)が創業した総合家電メーカーです。シャオミのスマートフォンは2013年に約6000億円を売り上げ、2014年にアップルを抜いて中国一のシェアを記録しました。
そのロゴに使われているアルファベット「MI」は社名Xiaomiの最後の2文字であり、また Mobile Internetの略でもあります。オレンジを選んだのは寒色系でスタイリッシュさを崩さないAppleへの対抗だったのかもしれません。Mと判読できるギリギリまで形を詰めたこのシンプルなデザインは、上下逆転してみると「心」の漢字を表わすようにカーブがつくられています。
エーユー(au)のロゴデザイン
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エーユー(au)は、KDDIの移動体通信事業ブランドで、日本国内でナンバーツーのシェアを得ています。コーポレートイメージカラーが赤からオレンジに変わったのは、2001年のKDDIによる株式会社エーユーの吸収合併の頃からで、ブランドネーム「au by KDDI」が出るとともにオレンジになりました。
auのロゴデザインは小文字の筆記体を用いており、軽い躍動感を感じさせるフォント使いです。auの意味については諸説あり、「会う」「合う」「accsess to u(you)」など色々な意味が込められているようです。
アマゾン・ドット・コム(amazon.com,inc)のロゴデザイン
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インターネットショップの世界でナンバーワンの位置を確固たるものにしつつあるアマゾンのスタートは、書籍販売からでした。「世界最大のブックストア」として短期的な利益を求めず、じっくりと広がり続ける戦略を取り、年間1800億ドルに迫る売り上げを叩き出すハイパー企業に成長しました。
そのロゴのaからzを指し示す矢印はオレンジ色に塗られ、「aからzまで何でも揃う」ことと、「顧客が満足して浮かべる笑顔」のふたつを同時に意味しています。2重の意味を持つ優れたデザインです。
まとめ
「オレンジ」のロゴを選ぶ企業に共通していたのは、やはり「情熱」という強い印象だったように思えます。また、そういった創業の情熱だけではなく、広く様々な人に好かれたい、選んでほしいという意図も伺えました。もっとも温かい色であるオレンジは、顧客の「選択」を導き出すキーカラーとして、有効に機能し続けているのです。
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