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不安なフリーランス

アラフォーと呼ばれる年齢になり、フリーランスとして活動していると、この感覚がじわじわとリアルになってきました。

「人生100年時代」という言葉がすっかり定着しました。僕たちの世代は、おそらく60代、いや70代になっても何らかの形で働き続けることになるでしょう。それはもう、ほぼ確定した未来なのだと思います。

会社員であれば定年という一つの区切りがありますが、フリーランスにはそれがありません。良くも悪くも、すべて自分次第。

だからこそ、「俺、大丈夫か?」という感覚は、とても自然で、むしろ健全なものだと思うようになりました。

今日は、そんなアラフォーのフリーランス(や、同じように将来を考える同世代のビジネスパーソン)が感じる「危機感」の正体と、その危機感を「武器」に変えて、長い未来にどう備えていくかについて、僕自身の考えを整理してみたいと思います。

「不安なのは自分だけじゃなかった」 そう感じて、少しでも心が軽くなったり、次の一歩を考えるきっかけになったりすれば幸いです。

 

アラフォーで感じる「危機感」の正体

不安なデザイナー

この「危機感」は、一つの大きな悩みというより、いくつかの不安が複雑に絡み合ってできています。人によって強弱はあれど、多くの人が共通して感じているのではないでしょうか。

1. 技術の進化と「自分のスキル」の陳腐化

まず、技術の進化が早すぎること。僕の本業はデザインですが、この業界の変化は本当にすさまじい。数年前に最先端だったツールや技術が、あっという間に古くなる。

そして今、AI(人工知能)の波が押し寄せています。簡単なバナー作成やロゴの提案、Webサイトのコーディングまで、AIがかなりのレベルでこなせるようになってきました。

「AIに仕事が奪われる」 そんな単純な話ではないと頭では分かっています。でも、「これまで自分が価値だと思っていたスキル」が、どんどんコモディティ化(一般化)していくのは事実です。

昔は「Photoshopが使える」「Illustratorが使える」というだけで一つの武器になりました。でも今は、それだけでは戦えません。

「このスキル、あと何年通用するんだろう?」 「5年後、自分はクライアントに何を“売り”にしているんだろう?」

この技術的な不安は、フリーランスにとって根源的な恐怖の一つです。

2. 体力の低下と「働き方」の限界

これはもう、本当に切実な問題です。20代、30代前半の頃は、無茶ができました。3日徹夜してでも納品する、週末も休まず働く。それが当たり前で、体力でカバーできていた部分が確かにありました。

でも、40代になるとそうはいきません。まず、徹夜が無理。無理をすると、回復に3日かかる。風邪も治りにくい。集中力も、若い頃のように一日中持続させるのは難しくなってきます。

ここで、フリーランス特有の問題が浮上します。もし、自分の収入が「時間単価 × 働いた時間」という、いわゆる労働集約型のモデルに依存していたら、どうなるか。

体力が落ちる = 働ける時間が減る = 収入が減る

この単純な公式が、重くのしかかってきます。「このままの働き方を、あと20年、30年も続けられるわけがない」 そう気づいた時、強烈な危機感を覚えました。体力という有限の資産に頼ったビジネスモデルは、年齢とともに先細りしていく未来しか見えません。

3. 景気や環境に左右される「不安定さ」

フリーランスは、良くも悪くも景気の波をダイレクトに受けます。クライアントの業績が悪くなれば、真っ先に切られるのは外部のコストかもしれません。

若い頃は「案件がなくなったら、また営業すればいい」と楽観的に考えられました。でも、アラフォーになると、守るべきもの(家族など)が増えたり、体力的な無理が効かなくなったりして、「来月の売上がゼロになったら…」という不安が、より現実味を帯びてきます。

さらに、若い世代のフリーランスもどんどん増えています。彼ら彼女らは、新しい技術に明るく、体力もあり、そして何より、僕たちよりも安い価格で仕事を受けられるかもしれません。

「価格競争になったら、もう勝てないかもしれない」 「自分ならではの“価値”を提示し続けなければ、選ばれなくなる」

この経済的な不安と競争へのプレッシャーも、危機感の大きな構成要素です。

 

その「危機感」は、むしろ武器になる

ここまで不安なことばかり書いてきましたが、僕は、この「危機感」をネガティブなものとしてだけ捉えてはいません。むしろ、アラフォーで感じる危機感は、この先を生き抜くための「最大の武器」だと考えています。

なぜなら、その危機感は「自分は今、マズい状況にあるかもしれない」と認識できている証拠だから。一番怖いのは、「ゆでガエル」の状態です。ゆっくりと状況が悪化しているのに気づかず、気づいた時にはもう手遅れになっていること。

「俺、大丈夫か?」と不安になれる。それは、時代の変化や自分の変化を、ちゃんと肌で感じ取れているということです。それは、未来に対して誠実であろうとする姿勢の表れです。

その不安があるからこそ、人は考え、行動し、備えることができます。20代の万能感や、30代の勢いだけでは乗り越えられない壁が、40代にはあります。だからこそ、この「危機感」という名のエンジンを、今、正しく作動させることが重要なのだと思います。

 

「60代、70代でも働く未来」のために、僕が考えていること

プランを考える

では、具体的にどう備えていくか。「たくさん考えて行動して、備えないといけない」 本当にその通りだと思います。

僕が今、意識して取り組んでいる「備え」は、大きく分けて3つあります。

1. 「技術的な備え」:作業者から、戦略家へ

AIの進化が怖いなら、AIを使う側に回ればいい。これはよく言われることですが、僕はもう少し解釈を深める必要があると思っています。

単に「新しいツール(AI)を覚える」だけでは、また次の新しいツールが出てきた時に同じ不安を繰り返すだけです。

僕たちアラフォー世代が目指すべき「技術的な備え」とは、「作業」から「戦略」へ軸足をずらすことではないでしょうか。

デザイナーの例で言えば、

  • 「ロゴを“作る”」スキル(作業)
  • 「なぜそのロゴが必要か、どうブランドに貢献するかを“設計する”」スキル(戦略)

AIは前者(作業)は得意になるでしょう。でも、クライアントの悩みに寄り添い、本質的な課題を見つけ、デザインという手段でどう解決するかを考える後者(戦略)は、まだ人間にしかできません。

僕たちが長年培ってきた経験、クライアントとのコミュニケーション能力、課題解決能力。これらは、AIにはない価値です。

だから、新しい技術を「自分の作業を効率化する道具」として使いこなしつつ、自分の本質的な価値を「手を動かすこと」から「頭を使い、戦略を立て、ディレクションすること」にシフトさせていく。

これが、60代、70代になっても求められる専門家であり続けるための、一つの答えだと考えています。

2. 「身体的な備え(ワークスタイル)」:体力ではなく、仕組みで稼ぐ

体力の低下問題。これは、働き方そのものを変えるしかありません。「体力に応じたワークスタイルを生み出していく」ことが、絶対に必要です。

具体的には、「時間=お金」の労働集約型から抜け出すこと。自分が働かなくても、価値を生み出してくれる「仕組み」や「資産」を作ることです。

僕がこのブログを書いているのも、その一環です。ブログ記事は、僕が寝ている間も、誰かの悩みを解決し、僕というデザイナーの考え方や人柄を伝えてくれる「資産」になります。

他にも、

  • 自分のノウハウをまとめたデジタルコンテンツ(Noteや教材)を販売する
  • 自分がすべて手を動かすのではなく、若いデザイナーに作業を手伝ってもらい、自分はディレクションに集中する
  • 単発の案件だけでなく、月額制等の顧問契約(デザイン相談役など)を結び、安定した収益基盤を作る

これらはすべて、自分の体力が落ちても、あるいは自分が動けない時間があっても、価値を提供し続け、収益を生み出すための「仕組み」です。

もちろん、仕組み作りは簡単ではありません。時間がかかります。でも、体力がある「今」だからこそ、未来のために種をまいておく必要があります。60代になってから「さあ、仕組みを作ろう」と思っても、体力的に難しいかもしれません。

3. 「一番大事な備え」:健康維持という名の、資本管理

そして、結局のところ、これが一番大事です。 「身体的な備え」、すなわち健康です。

フリーランスにとって、自分の体は「資本」そのもの。僕たちが倒れたら、すべてが止まります。売上もゼロです。会社員のように、有給休暇や傷病手当金があるわけではありません。

60代、70代まで働くということは、その年齢まで「健康で、頭がクリアな状態」を維持しなければならない、ということです。

「若い頃の不摂生が…」と後悔しても遅い。だから、40代の今、本気で健康に投資する必要があります。

  • 十分な睡眠時間を確保する(これが一番難しいですが…)
  • 定期的に運動する(ジム通いのような立派なものでなく、毎日30分歩くだけでもいい)
  • バランスの取れた食事を心がける

当たり前のことばかりですが、この当たり前を続けることが、フリーランスにとって最高のリスク管理であり、未来への最大の「備え」です。これは「健康維持」というより、「最重要資産のメンテナンス」と呼ぶべきかもしれません。

 

「自分は、大丈夫だろうか?」と感じる、あなたへ

もし今、あなたが僕と同じように漠然とした危機感を抱えているとしたら。

まず、伝えたいのは、「その感覚は、正常です」ということです。

不安を感じるのは、あなたが無能だからでも、臆病だからでもありません。未来を真剣に考え、変化の波を感じ取り、自分や家族に対して責任を持とうとしている、誠実な証拠です。

だから、不安を感じている自分を、どうか責めないでください。「不安なのは、自分だけじゃなかった」 そう思ってもらえるだけで、少し視界がクリアになるかもしれません。

僕も不安です。たぶん、周りの同世代のフリーランスも、口に出さないだけで、みんな同じように不安を抱えています。

でも、その不安があるから、僕たちは今日、何かを学び、何かを改善し、未来のための行動を起こすことができます。

 

危機感を「燃料」にして、今日からできることを

アラフォーのフリーランスが感じる危機感。それは、技術の進化、体力の低下、経済的な不安定さから来る、複合的なものです。

そして、僕たちの世代は、60代、70代になっても働き続ける未来が待っています。

その未来に備えるために、

  • スキル:作業者から、AIを使いこなす「戦略家」へ
  • ワークスタイル:体力依存から、ブログや仕組みで稼ぐ「資産型」へ
  • 土台:すべてを支える「健康」という資本を維持する

この3つを、体力のある今のうちからコツコツと積み上げていく。それしか、僕たちに残された道はないのかもしれません。一緒に、この長い道のりを乗り越えていきましょう。

 

アラフォーのフリーランスとして感じる「危機感」は大事にしたいと思う。たぶん僕たちの世代は60、70才になっても働くわけじゃないですか。俺…大丈夫か?って感じるのが普通だと思うんですよね。たくさん考えて行動して、備えないといけない。

X (Twitter) – Jul 11, 2024

この記事は過去の自分のX(Twitter)のポストを元に、編集しています。

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トミナガハルキ

グラフィックデザイナー/AMIX 代表。独学でデザインを学び、パッケージメーカー→美容系ベンチャー→家庭用品メーカーでのデザイン・広報運営を経て独立。現在は小さな事務所を拠点にASOBOAD等のサービスを運営し、ロゴ・パッケージ・広告物を中心に制作しています。著書『#ズボラPhotoshop 知識いらずの絶品3分デザイン』は各カテゴリでベストセラーを獲得。2020年Adobe Creative Residency選出。ブログでは、10年以上の実務から学んだことや働き方のヒントを等身大の視点で発信しています。