自分でデザインを考えなければならなくなった時、もしくは友人や同僚からちょっとしたデザインを頼まれた時、困ったことはありませんか?デザインする素材や使えそうな写真などが手元にあればいいのですが、僅かな文字情報しかもらえずデザインしようにもフォントを変えるぐらいしか出来ない。そんな時でも配色やフォントをちょっといじるだけでセンスあるビジュアルに変えることが出来ます。
当然、闇雲にいじくりまわすだけではいけません。見せたい情報と飾りたい文字を的確に配置することが重要です。時には文字を並べるだけでなく、思い切って重ねて配置してしまうのも手かもしれません。ということで今回は文字を重ねてデザインしているポスターを集めてみました。何かの参考になれば幸いです。(※紹介するポスターデザインは当サイトの制作事例ではありません)
僅かな情報を配色と文字で巧みにデザインしたコンサートのポスター作成例
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Audio Bullysはイギリス、ロンドンを拠点として活動する、Simon FranksとTom Dinsdaleが中心となって開催しているエレクトロニックミュージックプロジェクトで、ライブごとに様々なアーティストとコラボレーションするなどイラストや写真などのビジュアルを使わずに、ただ文字情報だけのポスターですが、配色と巧みな文字の配置によってスタイリッシュに仕上がっています。文字のサイズ感も絶妙です。右側から突き出したコンセントの様なデザインもいいアクセントになっていますね。ポイントは全体で使っている色が決して明るい色ではないにも関わらず、電子音楽特有のサイケデリックな雰囲気を出しつつ、暗いトーンになっていないことです。
いたずら書きの様に文字を書き殴った不穏な映画ポスターデザイン
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「The Killer Inside Me」は2010年に公開されたクライムサスペンスムービーのポスターです。ケーシー・アフレック、ジェシカ・アルバ、ケイト・ハドソンなど著名なキャストが名を連ねているので映画を観た人もいるのではないでしょうか。映画ポスターは国や地域によってバリエーションが違ったりするので、一般的に目にしたものとはデザインが違うものが残されていたりします。
このポスターも星マークがついているので、すでにどこかの映画賞で星を受賞したのちに作られたバージョンだと思われます。カーボーイハットを被った男の顔、上半分がこすられた様にぼかされており、その上から三色のクレヨンの様なもので乱雑に書かれたタイトル。これだけで何やら不穏な感じがします。文字を重ねるとゴチャゴチャしがちですが、それを逆手に取って注目させる巧みなポスターデザインだと思います。
少ない文字情報を魅力的に表現したポスター作成例
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Dieter Rothは1998年まで活躍したスイス人の芸術家で、彫刻や版画など様々な作品を発表しましたが、中には有機農法で作られた食品などを使って、サラミが腐っていく過程を利用したアートなど、非常に奇妙な作品を作ったアーティストでもあり、そこから由来してDieter Rot(Rotとは腐敗や腐ったという意味)とも言われていました。しかし彼の作品はその死後もイギリスの国立近現代美術館Tete Modernなどでも展覧会が開催されるなど今なお人々を引きつけています。このビジュアルは真っ赤な下地に配置したorteのフォントに手書きで彼の名前を重ねてます。整ったデジタルフォントにラフな手書きのフォントを重ねることで、互いの意味が喧嘩せずに平面のデザインに奥行きを出すことができます。
文字情報しかなく少ないアイテムだけだとしても、配列やフォントの違いを上手に活かすことでデザインの幅がぐっと広がることでしょう。
生徒の文字に修正を入れたようなセンスある美術大学のポスターデザイン
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このポスターはアメリカのロードアイランド州にある美術大学のグラフィックデザイン科が開催した展覧会用のポスターです。ワードで作って印刷した様な、なんてことのない文字情報だけの用紙に訂正やら手書きの指示が書き込まれています。まるで下手くそなプレゼン資料を上司に赤入れされ、訂正されている様な感じでもありますが、これ自体がまさにデザインとなっているのです。
そう、展覧会の主催が美術大学というところがポイントです。学生たちは日々、教授たちからまさに同じ様な修正やチェックを入れられうんざりしていることでしょう。それを逆手に取ったなんともエッジが効いたデザインだと思います。もちろん彼らだってデザイナーの卵でしょうからポスターにある様な簡単なミスはしないでしょうが…。そしてもう一つのポイントは一番上の「final」に修正が入り「draft」に直されているところ。彼らは展覧会に出品したとして学生であり、学びの最中でもあるのです。一人前になるまでは決して「final」ではなく下書きなのです。シンプルながら遊び心あるデザインになっていますね。
3色でも賑やかでインパクトのある仕上がりに
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デザイン自体、アルファベットの“g”のみという、至ってシンプルなこちらのポスター。それでも見る側へ強い印象を与えているのは、カラーブレンド効果によるものです。赤、青、白というたった3色の配色ですが、それらの重なりを上手に生かしています。このポスターの上手なところは、使用している色全てに透過性をもたせているわけではないという点です。
よく見てみると、赤と白は互いに混ざり合ってはおらず、透過性があるのは青のみとなっています。一部にだけカラーブレンド効果を活かすことで、うるさすぎず、しかし賑やかな配色が実現しています。
講演、展覧会、イベント案内の大学ポスターデザイン
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南カリフォルニア大学内に設置された建築学校は、1916年、建築学科として開講されました。一般的に “ USC ” と言えば、南カリフォルニア大学を指します。こちらは8月から11月にかけて開設される建築学校授業内容をポスターにしたものです。
講義名を書いた黄色の付箋を掲示板のように貼り付けています。付箋には、少し透明感を与えています。そのため付箋を通して下の文字が少し見えるのがわかります。完全には隠れていないので、かえって付箋の素材感を感じさせます。印刷物でありながら、本当の掲示板のようにも見えてくるのが、このデザインの面白いところです。この手のポスターを学校ではシリーズ化しています。それだけ評判が良いということでしょう。
「デザインインスピレーション」のコーナーでは、世界中のデザイン制作事例をピックアップして紹介しています。※当ページは世界中のデザイン制作事例を紹介するコンテンツです。当サイトのデザイン実績ではありません。
ポスターのデザイン料金と作例
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