誰にでも分かるデザインというのは、簡単で直接的な表現方法を用いたデザインの様に捉えられがちですが、決していつもそうであるとは限りません。見る人がデザインや意図を理解出来る様なヒントやポイントを含みながら間接的にテーマを表現した作品も数多くあります。そして、そのヒントを多くも、少な過ぎもなく盛り込む技術はデザイナーの裁量が試される部分であるかもしれませんね。今回はそんな間接的にテーマを描いた作品を3つご紹介します。(※紹介するデザインは当サイトの制作事例ではありません)
温かみを日差しで表現したデザイン
装丁デザインを見る (via Pinterest)
温かみは手で触れ、肌で感じるものなので視覚的に表現するのは難しい様に思われますが、この作品は見事にその温かさを窓から差す日差しで表現しています。また、あえてその日差しを直接捉えるのではなく、壁に反射した淡い光を描くことで、熱すぎず、まぶし過ぎない、程良い温かさを描いています。また窓枠が日差しによって壁に影を作ることで、テーマのhouseを上手く連想させることが出来ていますね。
木があった場所?木を使わずにテーマを表現したデザイン
装丁デザインを見る (via Pinterest)
「木が以前あった場所」という興味深いタイトルを囲む様に、再生紙や、ノートの様な紙が並べられています。それらの紙も木から作られているという点を考慮すると、そのタイトルとの比較がとても意味深く感じられます。そして、不規則に切り取られたように見えるそれぞれの紙も、少し引いて全体を見ると、樹皮の様にも見えますね。「木があった場所」をその木によって作られた紙で表現することで、その無くなってしまった木をより印象的に表現することが出来ています。
彼の痕跡として間接的にテーマを表現したデザイン
装丁デザインを見る (via Pinterest)
誰かがそこにいた、という痕跡を表す方法は足跡であったり、飲みかけのグラスであったりと色々な表現方法がありますが、ベッドシーツの皺というのはとても面白い着眼点です。また、「行方不明の男性」というタイトルを表すには、彼の身体の一部よりも彼全体をイメージさせる様なその大きな皺がとても効果的なように思われます。Missingの一部であるiがその皺に置き換わっていることで、タイトルとイメージが上手くリンクしやすくなっているのに加えて、iがない、行方不明であるというイメージの繋がりが生まれ、また「自分、一人称」として使われるIがないということで、その行方が知れない深刻さや空白のような印象を与える効果があるように捉えることが出来るかもしれません。
どれも想像力を膨らませる材料やポイントはしっかり残しつつ、見る人がテーマの理解に困らぬ様にきちんと手引きされたカバーデザイン3つをご紹介しました。
「デザインインスピレーション」のコーナーでは、世界中のデザイン制作事例をピックアップして紹介しています。※当ページは世界中のデザイン制作事例を紹介するコンテンツです。当サイトのデザイン実績ではありません。書籍の装丁デザインについて
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