アートやデザインというと、ゼロからデザインを生み出す奇抜な発想、素晴らしいテクニックなどがまず必須のように思えますが、もう一つ大事なのはオリジナリティーある着眼点。誰もが目にしているものでもアーティストにかかれば、瞬く間にアートへと変わります。彼らの発想の転換には驚かされることが多いですよね。そんな普段見慣れた物がデザインに変わる、面白い視点で描かれた装丁デザインを二回に渡りご紹介します。(※紹介するデザインは当サイトの制作事例ではありません)
タイトルがなければ気が付かない、隠れたモデルを用いた装丁デザイン
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かなり幅の広く長いジーンズとポインテッドトゥの赤いパンプス。少し違和感はあるものの、スタイリッシュな着こなしだと思えばごく普通の写真の様に思えます。ところがタイトル「The Bird」を見た後では印象ががらっと変わります。赤いパンプスは鳥のくちばしになり、皺が寄るジーンズの裾は鳥の顔を形作っている様に見えますね。同じ写真が全く違う姿を見せる、この大きなギャップに驚いた人も多いのではないでしょうか?タイトルやそのイメージにとらわれない、全く関係のないものからタイトルを描く、とても面白い装丁デザインです。
ビジュアルとタイトルが絶妙にマッチする装丁デザイン
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壁の亀裂が「心配」や「不安」といったイメージを結び付けるのが面白いアイディアです。亀裂が走った壁を目にすることがとりわけ特別なことではないように、「心配する」という行為はいつでも誰にでも起こる事ですよね。この二つの対象(亀裂と心配)は共通した観念を持っており、重ね合わせて考える事が出来ます。
亀裂の大きさ、深さは心配事の多さや大きさを。歪んだ曲線を描きながら、表面を這う様に進む亀裂のラインは心に巣食う不安が広がっていく様子を表している様にも見えますね。また、場所によっては見過ごすことが多い亀裂は、時間が経つにつれて大きくなり、気が付いた頃には前よりもかなり大きくなっていることがあります。この点も「心配事」と似ていますね。不安に思うことはすぐに対処しておけばいいのに、気が付かないうちにあえて目を逸らしたり後回しにすることで、気が付けばとても大きな問題になってしまった、そんな経験を重ね合わせる事が出来る人は多いのではないでしょうか。モデルとした対象とタイトルを上手く重ね合わせ、それぞれの意味や特徴を上手く用いながらコンセプトを表現する、とても深い装丁デザインです。
タイトルとデザイン両方のコンセプトが良く組み合わされた装丁デザイン
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マニュアルと言えば初めて何かをする時誰もがまず目にするものですよね。クリーニング/掃除の一つである洗濯。新しい服を初めて洗濯する時、方法に迷ったらまず見るのが洗濯におけるマニュアルの洗濯表示のタグですよね。「クリーニングする女性のマニュアル」というテーマをその洗濯タグにかけて表すのが、なるほどなアイディアです。表示のフォントも見やすい、飾りのない字体を使うことでよりリアルなタグらしく仕上がっています。タイトルの上下にある点線もよりリアルに見せる効果を発揮していますね。
新しい/オリジナルの「視点」で描く装丁デザイン
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何の変哲も無い様に見えるある一室の天井角を写した写真ですが、タイトルである「Lolita」と組み合わせるといろいろな解釈が出来ますね。余談ですが、こちらは今私達が使うローリタという単語の元となった小説で、Lolitaと呼ばれる少女が登場人物として現れます。ロリータと言えば、幼い女の子を思い浮かべますが、この部屋の淡いピンク色の壁からもそんな幼さが残る女の子の部屋の一部の様に見えます。もしくはその彼女がベッドに横になったり、ぼうっと天井を見た時など、「彼女自身の視点に立った」という意味合いがあるのかもしれません。シンプルだからこそ、見る者の想像力が広がる様な書籍のカバーデザインです。
お酒といえば…な書籍のカバーデザイン
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「cheers!(乾杯!)」と題されたカナダビールの歴史を紹介した本。カバーデザインのモデルはカナダのイメージとして広く知られた森林警備隊です。赤い制服とカウボーイのような帽子が決まっています。一瞬印刷ミスかなと思わせる様な二重に見える絵ですが、実はとても良く出来た仕掛けです。ビールを含めお酒と言えば、多くの人が経験したことがある酔っぱらった状態。この絵はまるで泥酔状態の時に見た風景の様ですよね。あれ、おかしいなと思わせるのもまるで飲酒状態の時の様です。歴史を扱った本でも、堅くならず、気軽に手に取りやすくデザインされてあるのがとても好ポイントなのではないでしょうか?
テーマそれぞれに対して色々な表現方法や、その組み合わせがあることに気付かされるデザインを計五つご紹介しました。予想や想像を超えた装丁デザインを見ると、何だかわくわくして来ますよね。想像が膨らみ、新たな発見を感じさせる作品はありましたか?
「デザインインスピレーション」のコーナーでは、世界中のデザイン制作事例をピックアップして紹介しています。※当ページは世界中のデザイン制作事例を紹介するコンテンツです。当サイトのデザイン実績ではありません。書籍の装丁デザインについて
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