テレビや新聞などは今やオールドメディアなどと呼ばれ、一昔前のメディアとして位置付けられています。実際、若者のテレビ離れ、新聞社のフェイクニュースなどは世界的な現象になっていますし、電車の中で新聞を広げている人、定食屋でお箸を持ったままボーッとテレビを眺めている人の姿はほとんど見かけませんね。それでもオールドメディアだからこその強みは当然あるでしょうし、彼らも生き残るために様々な経営努力をしていることでしょう。
そして自分たちの存在意義を大衆に伝えるべくオリジナリティあふれるコマーシャルを制作しています。そこで今回は世界中の新聞社やテレビ局のコマーシャルを集めてみました。日本ではなかなか目にする機会はないと思いますが、どこもユニークで独自性があります。是非動画制作のヒントにご覧ください。(※紹介する動画は当サイトの制作事例ではありません)
文字が織りなす二国間のつながりが美しい新聞のコマーシャル動画制作例
NEW YORK TIMES – Sabah Newspaper TV Commercial (2010)
https://vimeo.com/40280563
トルコで発行されている政府支持派日刊紙「Sabah」が付録紙としてニューヨーク・タイムズのトルコ語版を発刊するというアナウンス用のテレビコマーシャルです。実際に紙面に踊ったタイトルや記事で街を再現するという、新聞らしさを存分に表現した構成になっています。ニューヨークのランドマークから、イスタンブールを代表する観光名所であるボスポラスへ、フランク・シナトラの「New York, New York」の曲調との完璧な調和の中で移動するというのが、ニューヨーク・タイムズの情報が、タイムリーにトルコに届くというメッセージとなって届けられています。
建物や風景の陰影も全て文字のみで表現されており、新聞の伝える「モノクロの文字の力」をビビッドに演出できていますね。モノクロの世界で、唯一新聞社名である日本語で「朝」を意味する「Sabah」だけをカラーにしている、というところが、コマーシャルの真の目的を捉えつつも、やり過ぎ感が一切なく、メディアの巧妙なテクニックを感じざるを得ません。
新しいカラーのチャンネルをカラフルに演出したテレビチャンネルのコマーシャル動画制作例
CBS/Chellozone Launch commercial
アメリカを拠点とするテレビチャンネルの新チャンネル開設をアナウンスするテレビコマーシャルです。EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)で展開する新たなチャンネルの開設ということで、新チャンネル4つにそれぞれテーマカラーを当てて、「新しいCBSのカラーを楽しんで」という言葉とそのままマッチしたビジュアルを使用しています。シンプルに「そのまま」な演出をすることで、「始まり」と「可能性」というニュアンスを引き出すことに成功していますね。
ちなみにCBSといえば、アメリカ四大商業テレビネットワーク(NBC/ABC/FOX/CBS)のひとつで、もともとはラジオネットワークとして始まったこともあり、報道系の番組の評価が高かったのですが、その後報道部門の収益が落ちたことから、娯楽系に大きく舵を切ったそうです。そういう背景も、コマーシャルの最後を締める「CBS where entertainment is made(エンタータインメントが創作されるCBS)」というキャッチフレーズにも表れています。また、EMEAという人種はもちろん多種多様な文化が混じり合うエリアでの開設ということで、バイアスがかからないような中立さに対する配慮も感じます。メディアだからこそ、多様性に富む視聴者の関心をいかに引き付け、そして楽しませることができるか、ということを考慮したコマーシャルに仕上がっています。
折り紙が魅せる紙面の彩りが楽しいコマーシャル動画制作例
Sunday Star Times | Origami
ニュージーランドの新聞「Sunday Star Times」のテレビコマーシャルです。この作品のタイトルにもなっている通り「Origami(折り紙)」であらゆるテーマを表現しています。ストップモーションのデジタル技術と折り紙という手作業が融合することで、今までにない斬新さを感じますね。ちなみに、このコマーシャル製作には「Origami Master」というやたらと高貴な響きの人物が監修に入っていて、その折り紙マスターことジョナサン・バクスター氏は、オーストラリア人でありながら日本で開催された「折り紙探偵団国際コンベンション」でイベント司会をするほどの有名人です。ひとつの形から別の形へ折り直されるつながりも、とても興味深く、新聞という媒体がひとつひとつのテーマを文字によって折り込むことで形にするというメタファーにもなっています。
そして、最後にクシャクシャの丸めた紙で描かれる「It all unfolds on Sunday」つまり「全て日曜日に広がる(折り目がなくなる)」で折り紙の「折る」を意味する「fold」という言葉をうまく絡めているところが、さらにこのコマーシャルにまとまりを与えています。ハイヒールの角度だけで、女性の美脚が想像できる、というのは、見せ方を知っているメディアだからこそできる技なのかもしれません。
新年の幕開けを「らしく」描き出したコマーシャル動画制作例
HBO / Upcoming 2012
アメリカのケーブルテレビ放送局「HBO」の2012年度のラインナップをアナウンスするテレビコマーシャルです。2次元・3次元グラフィックアニメーションと実写をモンタージュのように組み合わせた構図になっており、新年という「扉」が開いた、というメッセージを巧妙に表現しています。HBOといえば、「セックス・アンド・ザ・シティ」をはじめ、近年では「ゲーム・オブ・スローンズ」といったヒットドラマを多く輩出し、今では主流となりつつあるケーブルテレビ局やネット配信サービスのオリジナルシリーズの制作の先駆けとなったといわれています。
あのワーナー・ブラザーズの関連企業であるワーナーメディアの傘下にあるだけあって、配信される作品のラインナップも豪華。数々の話題作のワンシーンを「オープニング(始まり)」というテーマに切り取り、BGMのテンポに合わせて、目まぐるしく展開させるという、HBOのブランドを既存の作品をつなぎ合わせることで、パワフルで「HBOらしい」勢いを感じさせてくれます。
「デザインインスピレーション」のコーナーでは、世界中のデザイン制作事例をピックアップして紹介しています。※当ページは世界中のデザイン制作事例を紹介するコンテンツです。当サイトのデザイン実績ではありません。
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