
2025年5月初旬に、Google専門の『9to5Google』をはじめ、多くのテック系メディアがGoogleのシンボルマーク「G」がデザイン変更されたことを伝えました。
シンボルマーク「G」は、赤・黄・緑・青の4色で構成されています。これまでは、それぞれの色はソリッド(ベタ)で、色の境界は明確でした。今回のデザイン変更では、色の変わり目がグラデーションとなりました。これによって、色の境界がなくなっています。
google changes its ‘G’ logo after a decade – can you see the difference? https://t.co/tUJdTl2te3 pic.twitter.com/pWqTdmMlsO
— designboom (@designboom) May 20, 2025
Googleアプリをアップデートしたときに、このデザインの変化に気づいたひとがいるかもしれません。あるいは、テック系メディアの記事を読んで、あとから認識したひとも少なくないでしょう。
メディアがこのデザイン変更をとりあげてから3か月経ちましたが、このデザイン変更について、Googleから公式なアナウンスや説明はありません。
この「G」マークのグラデーション化の意味について調べてみました。
「G」マークのデザイン変更点

・新しい「G」マーク / Koshiro K – stock.adobe.com
Googleアプリのアイコンを見てみると、従来のデザインでは4色の面がはっきりと区切られていたのに対し、新しいデザインではグラデーションによって色が滑らかに変化しています。
英国のデジタルマーケティングエージェンシーDelivered Social社は、グラデーション以外の変化を次のように指摘しています。
「新バージョンでは、色味がやや鮮やかでバランスの取れたものになっています。赤と青は少し深みが増し、黄色と緑はより自然に調和しています」
この結果、このデザインがより明確に目立つようになり、特に、表示が小さいモバイルデバイスやアプリアイコンにおいて効果的だというのが、Delivered Social社の受け取りです。
また、同社によると、色だけでなく形状にも微妙な調整がおこなわれました。
「曲線がやや引き締まり、色の移行がより滑らかになっています」
さらに、異なるデバイス間での整合性も考慮されていることも指摘しています。
「Android、iOS、Chrome、Gmailのいずれを使用している場合でも、新しいアイコンは色の表現と配置の両方で、より統一感のあるものになりました」
これによって、「G」マークは、高解像度ディスプレイやダークモードでも、Googleがラインナップの拡大を進めているハードウェアのどの製品で表示されても自然になじむようになったと、Delivered Social社は解説しています。
Googleが提唱したフラットな「マテリアルデザイン」

ロゴやインターフェイスのデザインには、何年かごとにトレンドの波がおとずれます。
テクノロジーの進化にともなう革新的デバイスの登場や新しいビジネスモデルの隆盛、マーケティング手法の変化などからの影響です。
以前の「G」マークがソリッドな色の面で構成されていたのは、「フラットデザイン」に基づくものです。今回「G」マークがグラデーション化されたのは、ここ数年のデザイントレンドに沿っているという意見が多く見られます。
立体的だった「Google」ロゴタイプ

・過去のGoogleロゴ / dennizn – stock.adobe.com
青い「G」のあとに、赤い「o」、黄色い「o」、青の「g」、緑の「l」、赤の「e」と続く4色のロゴタイプ(ワードマーク)が登場したのは1999年です。
このロゴタイプはセリフ系の書体で組まれ、グラデーションを使った3次元の立体的な表現でした。薄いグレーの影もつけられ、浮いて見えるような演出もほどこされています。
2010年には影が取り去られました。カラーパレットもやや明るめに変更されています。
2013年には、デザインの方向性が大きく変化しました。「フラット」で「ミニマル」なロゴタイプの登場です。
2015年には、さらに大きな変更がおこなわれます。セリフ書体がサンセリフ書体「Product Sans」に取って代わられました。
現在、Googleアプリを立ち上げたり、ブラウザでGoogleの検索ページを開いたときに表示される「Google」のロゴタイプがこれです。また、4色が明確に区切られた「G」マークも、ロゴ(シンボルマーク)としてこのときに登場しました。
スマートフォンの爆発的普及で生まれた「モバイルファースト」設計

Googleが2013年から2015年にかけて、ロゴをフラットでミニマルなデザインにリニューアルした背景には、スマートフォンの登場と普及があります。
Apple社が2007年に初代iPhoneをリリースし、スマートフォン時代の幕が上がりました。2008年にはGoogle社のAndroid OS(アンドロイド)を搭載した製品が台湾のHTC社から発売され、Google社の最初の自社ブランド製品「Nexus One(ネクサスワン)」も2010年に発売されました。
検索エンジンとしてのGoogleは、当初、Webブラウザーでの使用を前提にしていたため、デスクトップパソコンの画面を主軸として設計されていました。
しかし、スマートフォンが爆発的に普及すると、パソコンの大きな画面とスマートフォンなどの小さな画面のそれぞれに応じて、コンテンツを適切に表示する「レスポンシブデザイン」が注目され始めます。
さらに、一般の消費者にスマートフォンが広まるにつれ、インターネットデバイスとしての主流はパソコンではなく、スマートフォンに変わりました。
この大きな変化の流れを受けて、「モバイルファースト」の考え方が本格化します。
「モバイルファースト」というのは、ウェブサイトやアプリケーションをデザインするとき、スマートフォンなど「モバイルデバイス」での画面表示や操作性を優先させる考え方です。デスクトップなどの大画面デバイスには、そのあとからモバイル向けのデザインに基づいて対応させます。
そして、「モバイルファースト」を実現するのには、シンプルな「フラットデザイン」が最適でした。装飾的要素を無くすことで、モバイルデバイスの小さな画面で、ユーザーがコンテンツに集中するのを助けるからです。
「G」シンボルのフラット化は「マテリアルデザイン」の一環
Google社は、2014年に「マテリアルデザイン(Material Design)」を公表しました。
スマートフォンが登場したころのGoogleのプロダクトやプラットフォームは、ユーザーインターフェース(UI)の方針がバラバラでした。マテリアルデザインは、これを解消して、統一されたユーザーインターフェースとユーザー体験(UX)を提供するために開発されたデザイン言語です。
フラットデザインのシンプルさを継承しつつ、ユーザー体験を向上させるために、現実世界の物理的な(マテリアルな)法則(光、影、動きなど)をデジタル空間に持ち込みました。
これによって、より直感的で理解しやすいユーザーインターフェースを実現。シンプルで、高速、そしてコンテンツを邪魔しないユーザー中心主義が反映されています。
先に紹介した、2013年のロゴリニューアルはフラットデザインの波に乗ったものであり、2015年のリニューアルは、「マテリアルデザイン」の具現化と考えられます。
また、Googleの小さな「G」アイコンも、フラットデザインを踏まえた「マテリアルデザイン」のおかげで、デバイスの違いを超えて、一貫したブランドイメージを保てるようになったのです。
デザイントレンドとAIプロダクト「Gemini」

・Geminiのロゴ / prima91 – stock.adobe.com
2025年5月に「G」マークがグラデーション化されたことについては、大きくふたつの見解があります。ひとつはデザイントレンド、もうひとつは、AIプロダクト「Gemini」との関連性です。
デザイントレンドとしてのグラデーション
ロゴやインターフェイスのデザインには、何年かごとにトレンドの波がおとずれます。
テクノロジーの進化にともなう革新的デバイスの登場や新しいビジネスモデルの隆盛、マーケティング手法の変化などからの影響です。
先に紹介したロゴタイプ「Google」のデザインの変遷のように、ロゴデザインについても、3Dが流行したあとにフラットデザインの時代が訪れました。そして今グラデーション化という新しい流れが来ています。
今回「G」マークがグラデーション化されたのは、ここ数年のデザイントレンドに沿っているのだという意見が多く見られます。
例えば、Tinder(2017年)、Microsoft Edge(2020年)、Canva(2021年)のロゴデザインは、ソリッドに描画されていたものが、グラデーションでの表現に変わりました。
AIプロダクト「Gemini」との関係
一方で、全般的なデザイントレンドへの同調ではなく、人工知能(AI)との関連を指摘する見方もあります。
たとえば、オンライン出版やビデオ制作をおこなっている米国のStark Insider社は、現在のGoogle社の戦略は、AIイノベーションの最前線に立つことであり、グラデーション化はこの戦略に一致しているというのです。
Google社の生成AI「Gemini」のロゴタイプが、2024年にグラデーションを使ったデザインにリニューアルされました。このことを踏まえて、「G」マークのグラデーション化は、AIとのつながりを強く視覚化したものであるという推察です。
実は、Stark Insider社がこのようにコメントしたあとの7月1日に、ふたたびロゴデザインリニューアルがおこなわれ、ロゴタイプ「Gemini」自体は単色に変わってしまったのですが、星のシンボルマークがカラフルなグラデーションになりました。「G」マークと同じく、赤・黄・緑・青の4色です。グラデーション化という方向性は一貫しているようです。
Appleの公式サイトで、同社のAIである「Apple Intelligence」のページを見ると、「Apple Intelligence」や「Siri」がグラデーションになっています。ページ全体を見ると、ほかの見出しやポイントとなるテキストにも、同じ虹色のグラデーションの箇所があります。ですから、虹色のグラデーションの「Apple Intelligence」はロゴではなく、テキストに対するデザイン処理と考えられます。
ともかく、多色グラデーションがAIをイメージさせるということが、ひとつの流れになっているようです。
Googleブランドリソースセンター
ところで、愛用しているスマートフォンやタブレット、パソコンにインストールされているGoogleが提供しているアプリのアイコンはどうなっているでしょう。
私が使っているデバイスの、Chrome、Gmail、Google Analyticsなどは現時点ではグラデーションになっていません。
Google公式サイトのブランドリソースセンターに商標のリストがあります。そこには、アンドロイドの通称「ドロイド」君を含め、Google広告、Chrome、Gmail、Google Drive、Google Maps、Gemini、YouTubeなどおなじみのブランドやプロダクトのロゴがずらりと並んでいます。
もちろんGoogleもあります。そして、「G」マークもありますが、ここに掲載されている「G」はグラデーション化される以前のデザインです。これはどういうことでしょう。
企業「Google」のブランドロゴがリニューアルされたのか

Googleの主なプロダクトのうち、「Google」とそれ以外との違いは、「Google」がアプリの名称でもあり、同時に企業名でもあることです。
スタンフォード大学の学生だったラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが、1996年に開発した検索エンジンの名前は当初「Backrub(バックラブ)」でした。これを翌年の1997年に、数学用語の「googol(グーゴル)」をもじった「Google」に変更しました。さらに、その翌年に会社法人「Google」が設立されます。
つまり、検索エンジンが先に「Google」と名付けられ、その名前がそのまま会社のブランド名になったのです。
アプリアイコンに企業ロゴが使われている例
ここで、アプリ「Google」の「G」アイコンと同じく、アプリアイコンに企業ロゴまたはシンボルマークが使われている例をいくつかあげてみます。
デジタルサービスとしては、世界的な音楽ストリーミングサービス「Spotify」のグリーンの円に3本の波の入ったシンボルマークがあります。ほかに出会い系アプリ「Tinder」や「YouTube」「x」もそうです。
リアル店舗を展開しているビジネスでは、ハンバーガーチェーン「McDonald’s」の黄色いM字アーチや、世界的コーヒーチェーン「Starbucks」の人魚(セイレーン)などが代表的な例です。
こういった企業のアプリのアイコンは、企業のロゴまたはシンボルマークと同じデザインです。
Googleのファビコンの変遷
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・Googleのファビコン – Noah3500 / CC BY-SA 4.0
アプリアイコンと同じように、ウェブサイトの「ファビコン(favicon)」にもシンボルマークがよく使われます。
ファビコンは「favorites icon(フェイバリット・アイコン)」の略で、お気に入りアイコンという意味です。ウェブサイトを識別するためにブラウザのタブやブックマークリストに表示されます。
とても小さく表示されるため、画素数の制限があります。オリジナルロゴに対して多少の視覚的な調整がおこなわれていますので、厳密にはロゴやシンボルマークとまったく同じというわけではありませんが、それらをベースにしたデザインとなっています。
Googleの歴代のファビコンをインターネット上で見ることができます。
Googleのロゴタイプは、デザイン変更にもかかわらず、どの時代でも一貫して大文字の「G」で始まっています。興味深いのは、ファビコンは2008年からは小文字の「g」がデザインされていました。
2015年に現在のロゴタイプにデザイン変更されたときに、4色に色分けされたサンセリフ書体の大文字「G」がファビコンにも採用されたのです。
そして、現在のファビコンは、アプリアイコンと同じくグラデーションのデザインになっています。
一般に、ファビコンのデザインが変更されても、そのことがアナウンスされたり、リニューアルの理由が説明されることは、ほとんどありません。
テック系サイト『9to5Google』は「アイコン」と言っていた
「G」マークのグラデーション化を、メディアが記事にしたときの見出しをいくつか見てみましょう。
「GoogleのGロゴが10年ぶりにイメージチェンジ」(dezeen)
「Googleが『G』ロゴを変更」(The Verge)
「GはグラデーションのG:Googleがアプリのロゴをリニューアル」(Engadget)
いずれも「ロゴ」のリニューアルとして報じています。
Googleアプリの「G」アイコンの変化がユーザーに気づかれ出したのは、5月11日ごろのようです。この3つのメディアの記事はいずれも5月13日付けで投稿されています。
実は、それよりも1日早い5月12日に記事にしたメディアがあります。Google製品・サービスに特化したサイト『9to5Google』です。9to5Googleは以下の見出しで「G」マークのデザイン変更を報じました。
「Googleが10年ぶりに『G』アイコンを更新」(9to5Google)
9to5Googleの記事では、「ロゴ」ではなく「アイコン」と言っています。伝えていたのは、あくまでも「アプリ」アイコンのリニューアルなのです。
2015年のロゴリニューアルは、企業ロゴの総合的なアップデートでした。ですから、「10年ぶりにロゴを変更」という見出しは誤解を招きかねません。その意味では、先に紹介したメディアのうち、「アプリのロゴ」と表現した『Engadget』の見出しは親切です。
9to5Googleは、ChromeやMapsのような同社の4色の(アプリ)ロゴのいくつかが、グラデーション化される可能性は十分に考えられると予想しました。
しかし、3ヶ月経った現在、7月にロゴがリニューアルされた「Gemini」以外のアイコンの変化は見られません。
「G」アイコンは変わったが、企業ロゴのリニューアルはまだ

・Bay View Campus / JHVEPhoto – stock.adobe.com
2022年にGoogleの本社敷地内に新しい複合施設「Bay View Campus(ベイ・ビュー・キャンパス)」がオープンしました。それを伝える記事の写真を見ると、巨大なシンボルマーク「G」が設置されているのがわかります。
ベイ・ビュー・キャンパスのモニュメントがグラデーションの「G」マークと置き換わるまで、もうしばらく様子を見た方がよいのかもしれません。
企業としてのGoogleの「G」ロゴがリニューアルされたと言うのは時期尚早のようです。
【参考資料】
[Googleブランドリソースセンター(公式サイト)]
Brand Resource Center (https://about.google/brand-resource-center/)
Brand Resource Center | Brand terms (https://about.google/brand-resource-center/logos-list/)
Brand Resource Center | Brand elements (https://about.google/brand-resource-center/brand-elements/)
[Googleのストーリー(公式サイト)]
これまでの歩みと現在 – Google – About Google (https://about.google/company-info/our-story/)
[メディア]
Google updating its ‘G’ icon for the first time in 10 years (https://9to5google.com/2025/05/12/google-icon-update/)
Google’s G logo receives first makeover in ten years (https://www.dezeen.com/2025/05/13/googles-g-logo-2025/)
Google just changed its ‘G’ logo | The Verge (https://www.theverge.com/news/664958/google-g-logo-gradient-design-change)
G is for gradient: Google has redesigned its app logo (https://www.engadget.com/big-tech/g-is-for-gradient-google-has-redesigned-its-app-logo-220437771.html)
Google G Logo Update 2025: What’s Changed and Why It Matters (https://deliveredsocial.com/google-g-logo-update-2025-whats-changed-and-why-it-matters/)
Gradient Nation: Google’s New ‘G’ Logo Signals a Shift in Design | Stark Insider (https://www.starkinsider.com/2025/05/google-updates-g-app-logo-for-2025-trend.html)
[メディア:2015年のロゴリニューアル]
Googleがロゴを刷新、小さい画面でも見やすいデザインに | 日経クロステック(xTECH) (https://xtech.nikkei.com/it/atcl/news/15/090202833/)
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