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グラフィックデザイナー

過去の巨匠たちと現代のクリエイターが未来を紡ぐ

「昔は凄いデザイナーがいた」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。確かに、亀倉雄策やミルトン・グレイザーといった名前を聞けば、多くのデザイン関係者が敬意を込めて頷くことでしょう。ただ、この「昔は凄かった」という認識は、果たしてどれほど客観的なものなのでしょうか。

 

記憶の選別と時代の評価

時間

時のふるいにかけられた作品群

過去の偉大なデザイナーたちの作品を振り返ると、確かに目を見張るものばかりです。ただ、ここで一つ考えるべき点があると思います。僕たちが目にしているのは、長い年月を経て厳選された作品群だということです。時の流れの中で、多くの作品が忘れ去られ、真に価値のあるものだけが残されてきました。

これは言わば、時間という厳しい審査員による選別を経た結果です。だからこそ、過去の作品群は常に輝いて見えるのかもしれません。

同じ舞台で現在のデザインを評価する難しさ

一方で、現代のデザインはどうでしょうか。僕たちは今、膨大な量のデザイン作品に囲まれています。優れたものもあれば、そうでないものもある。その中から真の価値を見出すのは、実は非常に難しい作業です。

時の選別を経ていない現代の作品群を、過去の厳選された作品と比較するのは、公平とは言えないのではないでしょうか。むしろ、現在のデザイナーたちは、かつてない競争の中で切磋琢磨しているのかもしれません。

巨匠と呼ばれるようなデザイナーの功績

亀倉雄策は日本のグラフィックデザイン界の巨匠として知られ、その斬新な表現と確かな技術で多くの人々を魅了しました。一方、ミルトン・グレイザーはアメリカを代表するグラフィックデザイナーとして、数々の象徴的な作品を生み出しました。

彼らの作品は、今なお多くのデザイナーたちに影響を与え続けています。その功績は疑う余地もありません。

ただ、ここで一つ重要な点を指摘しておきましょう。亀倉雄策やミルトン・グレイザーが、当時のデザイン界のすべてを担っていたわけではありません。

同様に、現代のデザインの世界も、一握りのスター・デザイナーだけで成り立っているわけではありません。多様な才能と視点を持つクリエイターたちが、日々新しい表現を模索しているのです。

 

100年後の視点から見る現代

デザイナー

未来からの評価

では、100年後の人々は、現代のデザインをどのように見るでしょうか。おそらく、その時代にも「昔は凄いデザイナーがいた」という声が聞こえてくるのではないでしょうか。そして、その「昔」とは、僕たちの「今」を指しているかもしれません。

時間が経ち、現代の作品群からも厳選されたものだけが残るでしょう。そうなれば、今日の多くのデザイナーたちも、「凄い」と評価される日が来るかもしれません。

このように考えると、デザインの歴史は単なる「過去の栄光」ではなく、時代を超えた創造性の連鎖として捉えることができます。過去の巨匠たちは、確かに素晴らしい作品を生み出しました。その遺産は現代のデザイナーたちに受け継がれ、さらに新しい表現へと進化しているのです。

現代のデザイナーの皆さんへ

「昔は凄いデザイナーがいた」という言葉に萎縮することはないと思います。むしろ、現代のデザイナーたちは、過去の巨匠たちの肩に乗って、さらに高みを目指すチャンスを得ているでしょう。

技術の進歩や社会の変化に伴い、デザインの可能性はますます広がっています。この時代だからこそできる表現、伝えられるメッセージがあるはずです。

 

おわりに

デザイナー

デザインの世界は、過去から現在、そして未来へと続く壮大な物語です。「昔は凄いデザイナーがいた」という言葉は、決して現代のクリエイターたちの価値を否定するものではありません。むしろ、その言葉の中に、デザインという営みの奥深さと、時代を超えた創造性の素晴らしさを感じ取ることができるのではないでしょうか。

過去の巨匠たちの作品に敬意を払いつつ、現代のデザイナーたちもまた、未来に残る傑作を生み出す可能性を秘めています。そう考えると、デザインの歴史は終わりのない挑戦の連続であり、一人一人がその歴史を紡いでいるのだと言えないでしょうか。

今日も世界のどこかで、未来の「凄いデザイナー」たちが、静かにしかし確実に、その才能を開花させているのです。

 

グラフィックデザインを中心とした小さなデザイン事務所を経営しています。スタッフや外部のデザイナーさん・ライターさんに助けられながら、コツコツと地道に仕事をする日々が気に入っています。パッケージメーカーのデザイナーとして新卒入社→美容系のベンチャーに転職→家庭用品メーカーに転職...という流れを経て、その後独立しました。フリーランスデザイナーとして、10年以上の経験から学んだことや雑記をブログにしています。情報発信が趣味に近く、それが興じてPhotoshop関連の本を出版したり、noteを執筆したりしています。