デザインは先に進めたいのに原稿がまだ来ない、とりあえず何か文字を流し込んで分量を見たい。制作の現場ではよくある足止めです。デザイン事務所AMIXは、レイアウト確認用の日本語ダミーテキストを生成する無料Webツール「ダミーテキスト生成(日本語)」を公開しました。段落数か文字数を指定してテイストを選ぶだけで、日本語らしい字面のダミー文がその場で出力されます。特定の書籍や作品の文章を流用せず、語彙から組み立てているのも特徴です。アプリのインストールやアカウント登録は不要で、ブラウザを開けばすぐに使い始められます。
どんなツールか
本ツールは、実際の原稿が届く前の段階で、文章の分量や折り返し、行間、フォントの見え方を確かめるためのプレースホルダー文を作るツールです。英語圏で使われる「Lorem ipsum」の日本語版と考えると分かりやすいでしょう。画面上部で条件を決めると下の「生成結果」欄に文章が表示され、「コピー」を押せばそのままデザインツールやHTMLへ貼り付けられます。
生成の処理はすべてお使いのブラウザ内で完結し、設定内容や生成結果が当方のサーバーへ送信・保存されることはありません。通信を待つ時間もないため、条件を変えるたびに結果が即座に入れ替わります。パソコンでもスマートフォンでも同じように動作します。
なぜ日本語のダミーテキストが必要か
英文のLorem ipsumは長さの目安には便利ですが、日本語のデザインに使うと判断を誤らせます。英文は単語間に半角スペースが入り単語単位で折り返すため、行末に不揃いな余白が生まれます。一方の日本語は文字単位で折り返すことが多く、句読点などの禁則処理にも影響されるため、見た目の密度がまったく違います。英文ダミーで収まっていても、日本語を入れると字面や改行位置が変わり、窮屈に見えることがあります。書体や行間も含めて確認してください。
文字の黒みも違います。日本語は漢字・かな・カタカナで1文字あたりの線の量が大きく変わるため、漢字が続く箇所は紙面が黒く沈み、ひらがなが続く箇所は白っぽく浮きます。この濃淡のムラは本文サイズやウェイト、行間の判断に直結します。本ツールでは漢字の量が異なるテイストを選べるので、この差も比較できます。
既存の文章を流用せず、語彙から生成する
ダミーテキストを用意する手っ取り早い方法は既存の記事や小説から一部をコピーしてくることですが、権利の面で扱いが難しく、社外に渡るカンプに残ってしまうと厄介です。本ツールは特定の著作物の文章をそのまま使わず、日本語の語彙を組み合わせて自動生成しています。
仕組みはシンプルです。テイストごとに名詞・形容詞・動詞の語彙群を持っており(標準のテイストなら名詞27語、形容詞14語、動詞は言い切りの形が9語、過去の形が13語)、そこから語を選んで5通りの文型のいずれかに当てはめて文を組み立てます。文頭には「そして」「やがて」「たとえば」「いつしか」「だからこそ」といった接続語が入ることもあり、入らないこともあります。直前と同じ接続語や同じ文型が続かないよう避ける処理も入っているため、同じ形の文が連続しにくく、ダミーとして自然な見た目になります。文章は意味が通ることを目的としていないので、公開前には必ず正式な原稿へ差し替えてください。
主な機能・特徴
設定は多くありませんが、レイアウト検証に必要なところは押さえています。
- 生成の「単位」を「段落数で」「文字数で」から選べます。段落数指定は本文ブロックの見え方を、文字数指定は入る量の限界を確かめたいときに向いています。
- 段落数は1〜10段落。1段落は3〜5文でランダムに構成されるため、段落の長さが均一になりすぎません。
- 文字数は50〜2000文字の範囲を50文字刻みで指定できます。指定文字数まで文を生成し、そこで切り詰めて出力する方式です。
- テイストは「標準」「やわらかい」「ビジネス風」の3種類。漢字とひらがなの比率や語彙の硬さが変わるため、媒体の性格に合わせて選べます。
- 「句読点を使う」「段落間に空行」はそれぞれオフにできます。句読点をオフにすると句点や読点の代わりに全角スペースが入り、空行をオフにすると段落が改行のみで連続します。
- 「再生成」を押すたびに別の文章になります。同じ設定でも語の並びが変わるので、特定の語が偶然目立ってしまった場合に引き直せます。
- 「生成結果」欄の右上には現在の文字数が表示されます。「コピー」を押すとボタンの表示が「コピーしました」に変わります。
使い方
まず「単位」で「段落数で」か「文字数で」を選び、その下のスライダーで量を決めます。「段落数で」のときは1〜10段落、「文字数で」に切り替えると50〜2000文字の指定に変わり、初期値は300文字になります。次に「テイスト」を選び、必要に応じて「句読点を使う」「段落間に空行」のスイッチを切り替えます。設定を変えるたびに「生成結果」欄が即座に更新されるので、出来上がりを見ながら調整できます。内容が気に入らなければ「再生成」で引き直し、決まったら「コピー」を押してデザインツールやHTMLへ貼り付けます。生成結果の欄は読み取り専用のため、その場で書き換えるのではなく、貼り付けた先で調整する流れになります。
3つのテイストの使い分け
「標準」は語彙のバランスが取れた汎用のテイストで、漢字とひらがなが適度に混ざるため、多くのWebサイトや一般的な印刷物の本文の字面に近くなります。まずはこれで組み、迷ったときだけ他を試すのが手早い進め方です。
「やわらかい」はひらがなの割合が高く、紙面が白っぽく軽やかに見えます。子ども向けの媒体やライフスタイル系のサイトなど、ひらがな主体の原稿が来る想定のときに近い見え方です。「ビジネス風」は逆に漢字とカタカナが多く、黒みが強く硬い字面になります。会社案内やサービス紹介のように熟語が並ぶ原稿では、この濃さで行間を検討したほうが実態に合います。同じ設定で3つを順に切り替えると、字面の濃淡だけでレイアウトの印象がどれだけ変わるかが分かります。
文字数指定でレイアウトの限界を試す
段落数指定は「ふつうに流し込んだとき」の見え方に向いていますが、レイアウトが壊れるかどうかを見るには文字数指定が役立ちます。50文字刻みで動かせるので、200文字、250文字、300文字と少しずつ増やしながら崩れ始める点を探せます。逆に極端に短い50文字を入れて、余白が空きすぎて間延びしないかも確認できます。想定どおりの分量で1回確認するより、上下に振って2〜3回確認したほうが後から効いてきます。
活用シーン
- デザインカンプで、原稿が届く前に本文ブロックの分量を確かめたいとき
- 本文の書体・サイズ・行間の組み合わせを、日本語の字面で比較したいとき
- カードやリストのコンポーネントが、長文でも崩れないか検証したいとき
- コーディング中に、CSSの折り返しや行数制限の挙動を試したいとき
- 印刷物のラフで、テキストの入る量にあたりを付けたいとき
生成した文章は意味を持たないため、そのまま公開すると読み手を混乱させます。カンプの段階で入れたダミーが公開データに残らないよう、差し替えの確認だけは忘れずにおこなってください。
よくある質問
Q. 利用は無料ですか?
A. はい。アカウント登録やアプリのインストールは不要で、無料でご利用いただけます。生成した文章はレイアウト確認用としてお使いください。
Q. 文字数はぴったりになりますか?
A. 文字数指定では、指定した文字数まで生成したうえでその文字数に切り詰めて出力します。段落数指定では段落ごとの文の数がランダムに変わるため、合計文字数は一定になりません。
Q. 既存の書籍や記事の文章が使われていますか?
A. いいえ。特定の著作物の文章をそのまま使わず、日本語の語彙を組み合わせて自動生成しています。
Q. そのまま公開してもよいですか?
A. レイアウト確認用のダミーです。意味のある文章ではないため、公開前に必ず正式な原稿へ差し替えてください。
Q. データが外部に送信されることはありますか?
A. 生成の処理はすべてお使いのブラウザ内で行われ、設定内容や生成結果が当方のサーバーへ送信・保存されることはありません。
ご利用にあたって
本ツールおよび本ページは現状有姿(as-is)で提供されるため、ご利用は利用者ご自身の責任においておこなってください。生成される文章は語彙の組み合わせによる自動生成物であり、意味の通る文章として成立することを保証するものではありません。レイアウト確認以外の用途にはお使いにならないでください。生成結果の見え方はお使いのOS・ブラウザ・フォントによって異なり、貼り付け先の書体や行間の設定によって同じ文章でも印象が変わる場合があります。ブラウザの種類・バージョンや端末環境によっては表示・動作が異なることがあり、本ツールの仕様・内容は予告なく変更または提供を終了する場合があります。本ツールの利用、または利用できなかったことにより生じたいかなる損害についても、AMIXは責任を負いかねます。
原稿を待っているあいだにレイアウトを詰めておきたいとき、ぜひお役立てください。



