エレベーターの操作盤、缶ビールの上面、駅の手すり。身のまわりにある点字を自分でも組み立ててみたいと思ったとき、まず立ちはだかるのは「どのかなが、どの点の組み合わせなのか」を一覧から探す作業です。デザイン事務所AMIXは、入力したかな文字を日本点字(6点式のブライユ点字)に変換する無料Webツール「点字変換ツール」を公開しました。変換結果は2×3の6点図と、Unicodeの点字記号という2つの形で同時に表示されます。アプリのインストールやアカウント登録は不要で、パソコンでもスマートフォンでも、ブラウザを開けばすぐに使い始められます。

どんなツールか

「点字変換ツール」は、ひらがな・カタカナで入力した文字を日本点字に置き換え、点の配置を図で見せるためのツールです。入力欄に文字を打つと、変換は入力のたびに自動で走ります。画面上部には入力の文字数、点字側には「マス」の数がそれぞれ表示されるため、文字が点字何マスに変換されたかを確認できます。画面のマス数には空白を含めません。清音・濁音・半濁音・拗音・拗濁音・拗半濁音・撥音・長音・促音に加えて、数字とアルファベットにも対応しています。

紙の五十音対応表を横に置いて一文字ずつ照らし合わせる方法だと、濁音や拗音のように「前に符号を1マス足す」タイプの音で手が止まりがちです。本ツールは前置符号の付与まで含めて自動で処理するので、「が」と打てば濁音符と「か」の2マスが、「きゃ」と打てば拗音符と「か」の2マスが、そのまま並んで表示されます。ひらがなとカタカナはどちらで入力しても同じ結果になります(点字にかなの種別の区別はありません)。

変換はすべてお使いのブラウザ内で完結し、入力した文字が当方のサーバーへ送信・保存されることはありません。かなや前置符号の対応表を使った変換で、表示される点字はUnicodeの点字パターン(U+2800以降)です。入力は内部でNFC正規化されるため、「か」+結合濁点のように分解された状態で貼り付けた文字も、合成してから判定されます。

6つの点で表す点字のしくみ

点字は、縦3点・横2列の合わせて6つの点を1つの「マス」として、凸点の組み合わせで文字を表します。点の番号は左の列が上から1・2・3、右の列が上から4・5・6。本ツールの6点図もこの並びで描かれており、凸点に相当する位置は緑、それ以外の位置はグレーで表示されます。

「点の番号」のトグルをオンにすると、各マスの下に凸点の番号が並んで表示されます。たとえば「あ」なら1、「い」なら1・2というように、形と数字を同時に見られるので、対応表を暗記する前の段階でも位置を確認しながら読み進められます。母音のあ行は1・2・4の点を軸に構成され、子音はその形に点を足していきます。か行は6の点、さ行は5・6の点、た行は3・5の点を加えるという規則性も、番号表示にしておくと目で追いやすくなります。

ページ下部には「点字五十音表(清音)」と「特殊音(外来語)の点字」の一覧も掲載しています。変換した結果と一覧を見比べれば、どの点が足されて音が変わったのかを確認できます。

濁音・拗音は前置符号で表す

点字には、かなの前に符号を1マス置いて音の種類を示す「2マス方式」があります。本ツールが自動で処理しているのは、次のような組み合わせです。

  • 濁音は濁音符(5の点)+清音。「ば」は濁音符と「は」の2マスになります。
  • 半濁音は半濁音符(6の点)+清音。「ぱ」は半濁音符と「は」の2マスです。
  • 拗音は拗音符(4の点)+あ/う/お列の清音。「きゃ」は拗音符と「か」で表します。拗濁音は4・5の点、拗半濁音は4・6の点の符号を使います。
  • 数字は数符(3・4・5・6の点)を前に置き、1〜0は「あいうるらえれりおろ」と同じ形を流用します。数字のあとに「あいうえお」「らりるれろ」が続くときは、区切りとしてつなぎ符が自動で挿入されます。
  • アルファベットは外字符(5・6の点)を前に置きます。大文字には大文字符(6の点)が付き、語末まで大文字が2字以上続く場合は大文字符を2つ重ねた形になります。
  • 外来語の特殊音は、特殊音符(2・6の点)や拗音符などを前に置く2マス方式で表します。開拗音系(シェ・チェ・ジェなど)、合拗音系(ファ・クァ・ツァ・ヴァなど)、ティ/ディ/トゥ/ドゥ/テュを含む35通りを収録しています。

促音「っ」、長音「ー」、撥音「ん」はそれぞれ専用の1マスに変換されます。句点・読点・疑問符・感嘆符にも対応しています。

主な機能・特徴

変換の結果を「読む」ためのしくみをひととおり用意しています。

  • 入力のたびに自動変換。ボタンを押す手間なく、打ちながら点字が組み上がっていく様子を確認できます。
  • 6点図とUnicode点字の同時表示。点の配置を図で確かめつつ、テキストとして扱える形も同じ画面で得られます。
  • 「点の番号」トグルで凸点の番号(1〜6)を表示。点の位置を数字で押さえながら学べます。
  • 入力文字数と点字のマス数をそれぞれカウント。前置符号が入って何マスに膨らんだかが分かります。
  • 「点字をコピー」ボタンでUnicode点字を一括コピー。押すとラベルが「コピーしました」に変わります。実際に貼り付けられることも確認してください。
  • 変換できない文字は警告として一覧表示。漢字や未対応のまれな音が混じっていても、どの文字が落ちたのかがその場で分かります。
  • 全角の英数字・記号は半角に、カタカナはひらがなに内部で寄せてから変換するため、対応する表記を変換できます。半角カナなどは対応範囲外なので、全角カナに直してから入力してください。

使い方

手順は3つです。まず入力欄にひらがな・カタカナで文字を入力します。本ツールには漢字を読みがなに変換する機能がないため、あらかじめ読みがなに直してから入力してください。次に、6点図と点字が自動で表示されるので、点の配置を確認します。点の位置を数字で見たいときは「点の番号」をオンにします。最後に「点字をコピー」を押せば、Unicodeの点字記号としてクリップボードに入ります。

コピーした点字はテキストとして扱えるため、メモアプリや資料、チャットにそのまま貼り付けられます。点字対応フォントのある環境なら、貼り付け先でも点のパターンとして表示されます。文節の区切りを入れたいときは、入力の側でスペースを打ってください。スペースは点字側でもマスのあいだの空きとして反映されます。

点訳との違い、分かち書きは手動で

点字の文章には、文節ごとに1マスあける「分かち書き」という規則があります。本ツールはこれを自動化していません。正しく区切るには文法の解析が必要で、機械的に処理すると誤った区切りを出してしまうためです。区切りは入力側のスペースで調整する設計にしています。

また、本ツールは漢字の読みを判定できないため、漢字のままでは変換できません。読みがなに直してから入力してください。外来語の特殊音には広く対応していますが、ごく一部のまれな音(スィ・ズィ・デュ・フュ・フョ・ヴュ・ヴョ)は未対応で、入力すると警告に表示されます。本ツールの出力は、点訳の下書きや学習のための目安としてご利用ください。

活用シーン

  • 自分の名前や短いあいさつを、点字ではどう並ぶのか確かめたいとき
  • 点字の五十音や前置符号のしくみを、形と番号を見ながら学習したいとき
  • 学校の授業や自由研究で、点字のしくみを説明する資料を用意したいとき
  • デザインの検討段階で、点字表記を含むレイアウトの見え方を試したいとき
  • 点訳の下書きとして、まずかなから点のパターンに当たりを付けたいとき
  • 濁音や拗音が2マスになる感覚を、実際に打ちながら体感したいとき

点字は「読む」よりも「組み立てる」ほうが規則を覚えやすい面があります。入力しながら図が変わるのを見ていると、どの点が音の何を担っているのかが自然に見えてきます。

よくある質問

Q. 利用は無料ですか?

A. はい。すべての機能を無料でご利用いただけます。アプリのインストールや会員登録も不要です。

Q. 漢字は変換できますか?

A. 本ツールでは漢字の読みを自動判定できないため変換できません。読みがな(かな)に直してから入力してください。変換できない文字が含まれる場合は、警告として画面に一覧表示されます。

Q. コピーした点字はどう使えますか?

A. Unicodeの点字記号(U+2800以降)としてコピーされます。テキストとして扱えるため、点字対応フォントのある環境で表示・共有できます。学習や下書きの目安としてご利用ください。

Q. 入力した文字はサーバーに送信されますか?

A. 変換処理はお使いのブラウザ内で行われ、入力内容が当方のサーバーへ送信・保存されることはありません。データが端末内にとどまる仕組みです。

Q. スマートフォンでも使えますか?

A. はい。パソコンでもスマートフォンでも、ブラウザがあればご利用いただけます。

Q. 点字が正しく表示されないことはありますか?

A. 点字はUnicodeの点字パターンを使用しているため、お使いのOS・ブラウザ・フォントによっては、表示が異なったり正しく表示されない場合があります。6点図は図として描画しているため、フォントに左右されません。

ご利用にあたって

本ツールの出力は、点字の学習・確認および点訳の下書きを目的とした目安です。実際の点字印刷(点字プリンタでの打ち出しや墨字併記の制作)には、分かち書き、数符・外字符の扱い、行末の処理といった点訳の専門的な規則と校正が必要になります。視覚障害のある方が実際に読まれる用途に供する場合は、点訳者や専門機関による確認を経てからご利用ください。本ツールおよび本ページは現状有姿(as-is)で提供されるため、ご利用は利用者ご自身の責任においておこなってください。本ツールの利用、または利用できなかったことにより生じたいかなる損害についても、AMIXは責任を負いかねます。点字はUnicodeの文字を使用しているため、お使いのOS・ブラウザ・フォントによって表示が異なる、または正しく表示されない場合があります。本ツールの仕様・内容は、予告なく変更または提供を終了する場合があります。

6つの点の組み合わせで日本語がどう表されるのか、実際に打って確かめてみてください。点字変換ツールをお役立ていただければ幸いです。