
広告デザインを外注するときにはいきなり外注するのではなく、事前に社内でまとめておきたいことがあります。一人の責任者にすべてを任せてしまうというやり方もないわけではありませんが、その場合にしても事前に社内である程度のことをまとめておかないと完成間近になって揉める…ということは珍しくないため、注意をしておきましょう。
「高いお金を払ってデザイン会社に頼んだのに、上がってきたデザインが全然イメージと違った」「修正を何度も頼んでいるうちに納品が遅れ、追加料金まで請求されてしまった」。初めてプロのデザイン会社にバナーやポスター、パンフレットの外注をする際、こうした苦い失敗を経験する企業は後を絶ちません。この悲劇の原因の多くは、発注する企業側が『丸投げ』という最悪のスタートを切ってしまっていることにあります。
デザイン会社は絵を描く魔法使いではなく、「企業の想いを視覚化する翻訳家」です。翻訳元の原稿が定まっていなければ、正しいゴールには絶対に辿り着けません。本記事では、無駄な修正地獄を回避し、デザイナーから120%のクオリティを引き出すための、発注前に社内で絶対に固めておくべき「実践的な要件定義ルール」を開示します。
デザイン会社に任せっぱなしは避けたい

広告デザインをデザイン会社に外注するときには、どのようなイメージのものを作るのか簡単にまとめておくことが重要であり、デザイナーに任せるにしてもある程度のイメージをまとめておくことが大切です。デザイナーは宣伝したい対象や商品に合わせてデザインをしてくれますが、基本的には発注する側の意志を尊重してその上で一番いいと思われるデザインを制作してくれます。
明るい雰囲気にしたいのか、落ち着いた雰囲気のものにしたいのかといったコンセプトに関しては発注をする側がある程度イメージをしておく必要があるため、社内でも話し合って方向性を決めておく必要があります。社内の持つ人間のイメージと出来上がったものがあまりにもかけ離れていた場合、せっかく出来上がった広告を上手く活かすことができなくなってしまうこともあります。
「5W1H」の完璧な言語化
社内で最も時間をかけて固めるべきなのが、マーケティングの基本である「ターゲットと目的」です。特に最優先すべきは、「なぜこの広告を作るのか」と、「誰に見てほしいのか」の2点です。「なんかオシャレな感じで」といったフワッとした指示は禁句です。この「WHY」と「WHO」が社内で完全に一致している状態を作って初めて、デザイナーは「そのターゲットの心を撃ち抜くための最適な色や形」をロジカルに構築することができるのです。
広告デザインは出来上がりがスタート地点

広告デザインというのは出来上がってゴールというわけではなく、そこから宣伝をスタートさせるわけです。事前に社内でどのようなものを作るのかということを話し合って置かなければ、出来上がってから苦労することになるので気をつけなければなりません。
あわせて広告デザインの活用法についても事前にまとめておきたいところです。どのように活用していくのかという事をまとめていけば、自然と求められるデザインのイメージというのも湧きやすくなります。活用の仕方も話し合って決めておくのが良いでしょう。広告は会社の看板のようなものであり、すべての社員に影響をするものです。事前に理解が得られるように最低限のことはまとめておくのが大切です。
「必須要素」と「禁止事項」のリストアップ
デザイン開始後に「あ、やっぱり会社のロゴは右上に絶対に入れて」「競合他社のA社が使っている青色は避けてほしい」といった後出しジャンケンが出ると、全体のレイアウトが根本から崩れ、大幅な修正となってしまいます。
これを防ぐためには、「絶対に一番目立たせたいキャッチコピーは何か」「必ず入れなければならない要素は何か」「絶対に使ってほしくない色はあるか」というポジティブ・ネガティブ双方の制約を、発注の段階で作る『指示書』にすべて書き出しておくことが、極めてプロフェッショナルな発注者の振る舞いとなります。
「参考画像」の共有が最強の共通言語となる
「かわいい」「高級感」「スタイリッシュ」。私たちが普段使っているこのような言葉は、人によって想像するビジュアルが恐ろしいほど異なります。
この致命的なズレを一瞬で埋める最強の方法が、『参考画像』の共有です。「こんな雰囲気にしてほしい」という画像と、「文字の配置はこれに近い感じで」という画像を3〜5枚ほど事前に社内でピックアップし、デザイナーに渡すだけで、デザインの方向性のブレは劇的に減少し、最速・最高品質のクリエイティブへの最短ルートを駆け抜けることができるのです。
デザイン外注前・社内準備シート
【デザイン外注 社内準備シート】
基本情報
- 制作物の種類: チラシ / パンフレット / ポスター / 名刺 / その他
- サイズ・仕様:
- 数量:
- 用途:
5W1H
- Why(目的): なぜ作るのか
- Who(ターゲット): 誰に届けたいか
- What(訴求内容): 何を伝えたいか
- When(納期): いつまでに必要か
- Where(配布場所): どこで使うか
- How(配布方法): どうやって届けるか
素材の有無
- ロゴデータ: あり / なし
- 写真素材: あり / 撮影依頼 / 素材購入
- テキスト原稿: あり / ライティング依頼
- 過去のデザイン: あり / なし(初回制作)
社内承認フロー
- 初稿確認者:
- 最終承認者:
- 承認期限:
予算
- デザイン費:
- 印刷費:
- 合計:
社内承認フローの設計
| ステップ | 担当者 | チェック項目 | 目安期間 |
|---|---|---|---|
| 1. 企画承認 | 部門長 | 目的、ターゲット、予算 | 1〜2日 |
| 2. 原稿確認 | 担当者+上長 | テキスト内容、連絡先、価格 | 1〜2日 |
| 3. 初稿確認 | 担当者 | デザインの方向性 | 2〜3日 |
| 4. 修正確認 | 担当者+上長 | 修正箇所の反映 | 1〜2日 |
| 5. 最終承認 | 決裁者 | 全体の確認、入稿OK | 1日 |
注意: 承認フローの「あるある」失敗
- 社長が最終校で大幅変更: 最初から決裁者を巻き込む
- 部署間で意見が割れる: 企画段階で関係部署と方向性を合意
- 誰も確認しないまま納期が来る: 送付時に確認期限を明記
デザイナーとの打ち合わせの進め方
| フェーズ | 伝えるべきこと |
|---|---|
| 初回打ち合わせ | 目的、ターゲット、予算、スケジュール、参考デザイン |
| ラフ確認 | 全体の方向性のフィードバック。細かい修正は次回に |
| 修正指示 | 修正箇所をPDFに書き込み。口頭のみは避ける |
| 最終確認 | 誤字脱字、連絡先、QRコードの動作確認 |
デザイン外注でよくある社内トラブルと対策
| トラブル | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 予算オーバー | 見積もり段階で仕様が曖昧だった | 仕様を確定してから見積もりを取る |
| 納期遅延 | 社内確認に時間がかかった | 承認フローと期限を事前に設定 |
| 完成品がイメージと違う | 参考デザインを共有していなかった | 「好き」「嫌い」の参考デザインを複数共有 |
| 修正が止まらない | 関係者の意見がバラバラ | 確認者を1人に絞る |
まとめ

広告デザインを社内でまとめることは、成功するための重要なステップです。デザイン会社に外注する前に、社内で広告の目的やターゲットオーディエンス、コンセプト、ブランドのアイデンティティなどについて話し合い、方向性を決めましょう。また、広告の活用方法についても話し合っておくことが大切です。これによって、求められるデザインのイメージが明確になり、出来上がった広告を活用するためのアイデアも生まれやすくなります。
デザイン会社に依頼する場合でも、社内でまとめたイメージを共有することが重要です。デザイナーは発注側の意思を尊重してデザインを制作しますが、社内でまとめた方向性が伝えられることで、より的確なデザインを提案してもらえる可能性が高くなります。
広告デザインは出来上がりがゴールではなく、宣伝のスタート地点です。出来上がった広告を活用するためにも、社内で事前に話し合っておくことが大切です。広告は会社の看板のようなものであり、すべての社員に影響を与えるものです。社内で共有することで、広告の目的が明確になり、成功への近道となります。
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