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ブレーン2月号書影

現在発売中の宣伝会議『ブレーン』2026年2月号「大阪・関西万博デザインシステム〈拡大版〉」。そのコーナー内で、僕が制作したドローイングツール「かがやきメーカー」を少しだけ紹介していただきました。

あくまで企画の一部として紹介していただいた形ではありますが、デザイナーとして長く親しんできた雑誌に、自分の作ったツールが記録として残ることは素直に嬉しく思います。

今回はこの掲載をきっかけに、当時の制作背景と今改めて感じている「まずは形にすること」の意味について少し書いてみます。

 

2025年はAIと走り出した「実験」の年

AI coding

時計の針を少し戻すと、僕がAIと共にプログラミングでWebツールを作り始めたのが、2025年の4月頃でした。そして今回掲載された「かがやきメーカー」を作ったのが、そのわずか2ヶ月後の6月です。

何か明確なビジョンや事業計画を持っていたわけではありません。ただ純粋に、「AIとコードを書く」という行為そのものが新鮮で、自分の頭の中に浮かんだ「あったらいいな」や「面白そう」が、数時間後にはブラウザ上で動いているという…そのスピード感に熱中していました。

「かがやきメーカー」も、そんな多産な時期に生まれたツールの一つです。

 

「狙わない」からこそ生まれるもの

雰囲気で仕事

仕事としてのデザインや開発では、当然ながら「戦略」や「目的」が求められます。ターゲットは誰か、解決すべき課題は何か、収益性はどうか。普段は、そうした思考のフィルターを通してアウトプットを洗練させていきます。

しかし、このツールに関してはそうした「大人の事情」は一切ありませんでした。「万博関連でバズらせよう」とか「ポートフォリオとして箔をつけよう」といった計算は無く、「これを作ったら、楽しんでくれる人がいるのではないか」。動機はそれだけでした。

もし当時の僕が賢く立ち回り、「これは世の中にニーズがあるか?」「クオリティとして十分か?」と冷静に自問していたら、おそらくこのツールは世に出ていなかったでしょう。

「役に立つかは確証はないけれど、自分が面白いと思うから作る」。そんな初期衝動のままに計算を捨てて手を動かしたからこそ、結果として『ブレーン』のような場所に届くものが生まれたのだと思います。

デザイナーとしてのキャリアは無駄にならない

AIにコードを書いてもらいながらも、最終的なアウトプットのバランスやUIの「気持ちよさ」の判断には、これまでグラフィックデザイナーとして培ってきた感覚が自然と生きていたように思います。「どう動けば美しいか」「どう見せれば伝わるか」。10年以上デザインの現場で積み重ねてきた経験が、無意識のうちにAIへの指示や微調整の指針となっていました。

何よりこのツールを通して伝えたかったのは、シンプルに「描くことの楽しさ」です。難しい操作や理論は抜きにして、画面上で手を動かすだけで可愛いビジュアルが生まれる。その原初的な「作る喜び」のようなものを、使ってくれた方に少しでも感じてもらえたのなら、制作者としてそれに勝る嬉しさはありません。

 

思考の速度でプロトタイプする

AIプロトタイピング

AIという強力なパートナーがいる今、アイデアを形にするコストは劇的に下がったと思います。それはつまり「失敗しても大して痛くない」ということです。

これからのクリエイションにおいて重要なのは、綿密な計画を立てて一発必中を狙うことよりも、思いついた瞬間にプロトタイプを作って世に出してみる「軽やかさ」なのかもしれません。

今回の掲載は自分にとって「そのスタンスで間違っていない」と言ってもらえたような、良いフィードバックになりました。

戦略的に狙う仕事も大切ですが、時には計算を捨ててフラットに「作りたいもの」を作る。そうした遊びの延長線上に、予期せぬ広がりや新しい仕事の種が埋まっているのだと再確認しています。

 

フリーランス・デザイナーのブログ

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トミナガハルキ

グラフィックデザイナー/AMIX 代表。独学でデザインを学び、パッケージメーカー→美容系ベンチャー→家庭用品メーカーでのデザイン・広報運営を経て独立。現在は小さな事務所を拠点にASOBOAD等のサービスを運営し、ロゴ・パッケージ・広告物を中心に制作しています。著書『#ズボラPhotoshop 知識いらずの絶品3分デザイン』は各カテゴリでベストセラーを獲得。2020年Adobe Creative Residency選出。ブログでは、10年以上の実務から学んだことや働き方のヒントを等身大の視点で発信しています。