PRINT DESIGN — FLYER
チラシ制作事例 – 概要が伝わる映画の宣伝チラシデザイン






マンガ感覚で作品の魅力を伝える映画の宣伝用チラシデザインです。
チラシの表面は、古い文化住宅が並ぶ路地を歩く少女の姿を映した、作品を象徴的に表すイメージカット。キャッチコピーとタイトル、スタッフやキャストのクレジットが並ぶ、作品の顔となる一枚です。彩度を抑えたリアリティのある路地の風景と、中央に配置されたタイトルロゴが、作品の持つ独特の叙情性と静かなドラマ性を際立たせています。このミニマルで洗練された「ポスター」としてのデザインが、観客に強い印象と物語への想像力をかき立てさせます。
裏面のコントラストと世界観
裏面は、少女と労働者風の男性が無表情で並ぶ不思議なカットを大きく使い、映画の概要を記したコピーをのせて、映画の内容と世界観を伝えています。「楽しくやってます」のキャッチコピーに対して無表情な二人。この違和感が映画のコミカルな人情劇のすべてを物語っています。表面の静かな雰囲気から一転、裏面では情報量を増やし、コメディタッチと生活感を前面に押し出しています。この表裏の著しいギャップこそが、作品が単なるシリアスドラマではなく、ユーモアと人情味にあふれた「娯楽映画」であることを効果的に伝えるフックとなっています。
マンガ風の再現演出
イメージカットの下には、作品から切り取った名場面の数々が並び、吹き出しを使ってセリフの一部を再現しています。個性豊かなキャラクターがマンガのように演出され、映像作品への興味を掻き立てます。吹き出しを使ったセリフの見せ方は、登場人物たちの個性的なキャラクターと、テンポの良い会話劇を強く予感させます。まるでマンガのページをめくるような感覚で場面写真を追うことができ、観客は映画本編のコミカルなトーンと大阪ならではの人間模様に、自然と引き込まれていきます。


フキダシデザインの魅力
漫画風のフキダシは、チラシデザインに取り入れることで、情報をダイレクトかつ親しみやすく伝えることができるエレメントです。視覚的にもインパクトがあり、とくに若い層にとっては、情報を楽しく伝える手法として効果的です。しかし、その取り入れ方にはいくつかの注意点が必要です。
多用を避ける
フキダシのデザインは魅力的ですが、チラシの中に多くのフキダシを配置しすぎると、逆に情報が散乱してしまい、読者の注目を散らす原因となります。デザイン全体のバランスを考慮し、必要なポイントにだけフキダシを配置することが大切です。
しかし作例のチラシはあえて多用気味に使い、新感覚というコンセプトを表現しました。ともすればうるさくなりがちなフキダシですが、デザインとして昇華させることで、より映画の内容の楽しさが伝わりやすくなるのではないでしょうか。
テキストの読みやすさを確保する
漫画風のフキダシは、その形状が多種多様であるため、テキストを配置する際に、文字が読みにくくなってしまうことがあります。フキダシの形や大きさ、テキストのフォントやサイズを適切に選択し、読みやすさを最優先に考慮することが重要です。
色のコントラストを保つ
フキダシの背景色とテキストの色のコントラストは、情報の伝達に直接関わる要素です。とくにフキダシの背景色が鮮やかな場合や複数の色を使用する場合には、テキストの色を明確に認識できるよう、高いコントラストを持つ色を選択することが求められます。
ターゲット層とのマッチングを意識する
漫画風のフキダシは、若い層に親しみやすいデザインですが、全てのターゲット層に合致するわけではありません。チラシのターゲット層や目的に応じて、フキダシのデザインの有無やスタイルを選ぶことが必要です。
制作フライヤー・チラシデザイン に対する感想
VOICE ※第三者による感想です表裏で変えられる、チラシならではのメリットが活かされています。
寂しげな写真のインパクト
映画のワンシーンを切り取ったかのような写真は寂しげにも見え、少女を中心とした感動作を想像してしまいました。ところがこちらのチラシは、裏面がかなりおもしろい内容に。表面で感じたノスタルジックな印象とは異なり、裏面では表情豊かな少女とさまざまなキャラクターの姿が。吹き出しを入れることでマンガを読んでいるような気分になり、つい読み込むことで映画の世界へと誘われている気がします。頭の中に聞こえてきそうな、テンポのよい関西弁。「楽しくやってます」と言いながら無表情の二人についツッコミたくなってしまいます。
ギャップを利用した映画の魅力
「新感覚」という文字通り、何か新しいものが感じ取れる映画なのかと興味がわいてしまいました。表では見る人を想像させる、真面目な映画ポスター風に。裏ではいい意味で想像を裏切る愉快な印象に。裏表のギャップによって映画の魅力を伝えられるのは、まさにチラシならではのメリットかもしれません。遊び心のあるデザインのため、誰かに渡して映画に誘うという方法にも使えそうです。映画の内容を保障するかのように、監督の名前や他監督のコメントを効果的に使用しているため、気になった人の背中をポンっと押してくれそうです。
「表」と「裏」で完結する、映画の二面性マーケティング

※画像はイメージです
この映画チラシ(フライヤー)は、「表(オモテ)」と「裏(ウラ)」で意図的にデザインのテイストを劇的に変えることで、作品の持つ多面的な魅力を観客に伝える、非常に戦略的な構成になっています。
表面:観客への「問いかけ」としての「ポスター」
まず、表面は、映画の「顔」となる「ポスター」としての役割を強く意識しています。
世界観の提示
古い路地裏を少女が一人歩くという、象徴的(シンボリック)なワンシーンが使われています。余計な情報を排し、余白を活かした構図と、中央に配置されたタイトルロゴは、いわゆる「アート系」や「インディペンデント映画」を思わせる、洗練された雰囲気(トーン&マナー)を確立しています。
興味の喚起
この面は、あえて作品の「あらすじ」や「ジャンル」を説明しません。「これはどんな物語なのだろう?」「この少女はなぜここにいるのだろう?」と、手にした観客に「問いかけ」、興味を喚起させることに特化しています。映画館のラックに並んでいても、その独特の空気感で目を引く「掴み」の役割です。
裏面:観客への「回答」としての「リーフレット」
次に、観客がその「問い」の答えを求めてチラシを裏返すと、そこには表面とはまったく異なる、情報密度の高い「リーフレット」としての世界が広がっています。
ジャンルの明示
表面の静かな雰囲気は一変し、まず目に飛び込むのは「新感覚娯楽映画の登場!!」という明快なコピーです。ここで、表面で感じた「アート系かも?」という第一印象に対し、「これはエンターテイメント作品ですよ」という「回答」を即座に提示しています。
「違和感」の演出
上記でも既に触れられているように、「それも楽しくやってます」というポジティブなコピーと、無表情な二人のメインカットとの「違和感(ギャップ)」が、この作品が単純な人情喜劇ではなく、一癖も二癖もあるコメディであることを物語っています。
「フキダシ」が可視化する「娯楽」の正体
この裏面(回答)の説得力を決定づけているのが、既存の解説でも分析されている「フキダシ(吹き出し)」の使い方です。映画のチラシでは、通常「場面写真(シーンカット)」を並べて雰囲気を伝えますが、静止画だけでは、そのシーンが「シリアス」なのか「コミカル」なのかは伝わりにくいものです。
このデザインは、あえて「マンガのコマ割り」のように多数の場面写真を配置し、そこに「フキダシ」でセリフを載せています。これは、デザイン的な「楽しさ」の演出であると同時に、「この映画の面白さは、登場人物たちの『会話』や『掛け合い』にありますよ」 という、作品の核心的な魅力を視覚的に伝える「編集的な」デザイン手法と言えます。
既存の解説にある通り、フキダシの多用は情報過多のリスクがありますが、本作ではその「情報過多」な状態こそが、作品の持つ「ゴチャゴチャした楽しさ」や「新感覚」を表現するコンセプトとして、見事に昇華されています。
このように、表面で「アート」としての格調高さを提示して観客の興味を引き、裏面で「エンタメ」としての具体的な面白さを解説する。この二面性こそが、映画の宣伝チラシとして効果的な戦略となっています。
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