チラシの初校(最初のデザイン案)が上がってきたとき、「悪くはないけれど、なんだか少しイメージと違う」「もう少しパッと目を引く感じにしたい」と感じる場面は少なくありません。

このとき、どう伝えればよいか迷って「もっとインパクトを出してください」「全体的にオシャレにしてください」といった感覚的な言葉だけで戻してしまうと、デザイナー側で意図を汲み取れず、修正を重ねるほどゴールから遠ざかってしまうことがあります。逆に、「この文字を赤色にして1.5倍に拡大してください」と見た目上の作業指示だけを細かく出しすぎると、紙面全体のバランスが崩れて読みづらくなってしまうケースも見られます。

もちろん、企業のロゴ規定や指定カラーなど、数値や色番号が厳密に決まっている箇所は具体的な作業指示を出すのが的確です。一方で、紙面の印象や情報の優先順位を調整したい場面では、「なぜそこを直したいのか(課題・目的)」を添えて伝えるアプローチをとることで、デザイナーからより的確な解決策を引き出しやすくなります。

ここでは、デザインの迷走や手戻りを防ぎ、スムーズに完成度を高めるための修正依頼(赤字入れ)のコツを整理します。

表中の料金・人数・割合は、伝え方を説明するための仮の例です。

1. 感覚的な指示を「課題と目的」に変える言い換え比較(Before / After)

「なんとなく違う」という違和感をそのままぶつけるのではなく、「誰にとって・どこがどう見えるのが気がかりなのか」を少しだけ具体的に言葉に添えると、デザイナーは修正の方向性を正確に掴めるようになります。

よくある感覚的・断片的な指示(Before) 意図がまっすぐ伝わる修正指示の例(After)
「もっと全体的にインパクトを出してください」 「今回のチラシで一番伝えたい『初回体験2,980円』が周囲の説明文に埋もれて見えるため、チラシを手にした瞬間にまずそこへ視線が行くようメリハリをつけたいです」
「なんだか暗い・寂しい感じがするので明るくしてください」 「子育て世代の主婦層が『気軽に入りやすそう』と感じる温かい雰囲気にしたいため、背景色をもう少し明るいトーンにするか、スタッフの笑顔写真を大きく見せたいです」
「この文字を赤色にして、サイズを2倍に大きくしてください」 「主な読者層が60〜70代のため、現在の文字サイズだと電話番号と受付時間が少し読みづらそうです。シニア層でも迷わず電話できるよう、連絡先まわりの視認性を高めたいです(色やサイズのバランスはお任せします)」
「ごちゃごちゃしているので、もっとスッキリ見やすくしてください」 「中段の『選ばれる3つの理由』の文字量が多くて詰まって見えます。説明文を3割ほど短く削るか、アイコンを使って余白を作りたいです(文章のこちらの部分は削っても問題ありません)」
「なんかイメージと違います。別パターンも見せてください」 「現在は高級感のある落ち着いたデザインですが、今回は『週末の賑やかな感謝祭』のワクワク感を伝えたいため、もう少し活気のある書体や配色に調整したいです(参考画像Aのような雰囲気が理想です)」

このように「現状のどこに懸念があるのか」「読み手にどう感じてほしいのか」が共有されていれば、1回の修正で期待通りの紙面に近づきやすくなります。

2. 「手段」の前に「目的」を伝えるとデザインが良くなる理由

修正依頼でよく起こるのが、発注者が良かれと思って「ここの見出しを赤にして」「この枠を黄色く塗って」「この写真もあの写真も大きくして」と、目立たせるための「手段」だけを細かく指定してしまうケースです。

指示された通りにすべての文字を大きくし、あちこちに赤や黄色を使っていくと、結果として紙面全体が派手な要素で埋め尽くされ、「全部を目立たせようとした結果、どこが一番大切なのかわからないチラシ」に陥りやすくなります。

プロのデザイナーは、「特定の要素を目立たせる」という目的に対して、単に文字を大きくする・赤くする以外にも多くの引き出しを持っています。

  • 目立たせたい要素の「周囲にある別の要素」を少し小さくして、周りに余白(白い空間)をつくる
  • 背景に薄い色の帯や枠を敷いて、情報のまとまり(グルーピング)をはっきりさせる
  • 文字の大きさは変えずに、書体の太さ(ウェイト)や色数のコントラストで視線を集める

したがって、「ここを赤く大きくしてください」と手段を限定する前に、「この特典部分が目立たないので、一番最初に目に入るようにしたいです。周囲とのバランスはお任せします」と目的を伝えるほうが、紙面の美しさと読みやすさを両立した修正案が返ってきやすくなります。

また、修正の段階で「あの説明文も追加したい」「この写真もやっぱり載せたい」と要素を増やす場合は、紙面の面積には限りがあるため、「代わりにどの要素を小さくするか(または削るか)」もあわせて伝えると、文字が小さくなりすぎるのを防ぐことができます。

3. 打ち間違いや手戻りを防ぐ「赤字入れ」の実務ルール3選

デザインの方向性だけでなく、具体的な文字修正や差し替えを伝える際の実務的な工夫によっても、制作スピードと正確性は大きく変わります。

① 社内関係者の意見は「1つに統合・整理してから」戻す

担当者から「落ち着いた色合いに直してください」と修正依頼を出した翌日に、上長や店舗責任者から「やっぱりもっと派手な色にして、商品の写真を3点追加して」と正反対の指示が出ると、作業が振り出しに戻り、スケジュールの遅延や追加修正費用の発生につながりやすくなります。 初校が上がってきたら、まずは社内の決裁権者や関係者に一通り回覧し、社内で意見が食い違った箇所は「今回はどちらの方針でいくか」を社内で1つに絞ってから、1つの赤字データ(1回の修正依頼)にまとめて発注するのがスムーズな進行の基本です。

② 「どこを(場所)」と「どう直すか(内容)」を丸番号で紐づける

メールの文章だけで「真ん中より少し下の、右側の枠にある2行目の文章を直してください」と伝えると、デザイナーが別の行と勘違いして修正してしまうリスクがあります。 初校のPDFデータに注釈を入れるか、印刷した紙面に赤ペンで書き込む形で、修正箇所に「①、②、③…」と番号を振り、それぞれの番号に対して「①:〇〇を△△に変更」「②:写真を差し替え」と対応させて記載すると、指示漏れや場所の取り違えを防げます。

画面のデザインを確認しながら作業するデザイナー

③ 文字や数字の修正は「コピー&ペーストできるテキスト」を添える

紙に手書きした赤字をスキャン・撮影して送る際、手書きの文字だけで長文の追加や電話番号・住所・URL・人名などの変更を伝えると、「0(ゼロ)とO(オー)」「1(イチ)とl(エル)」の読み間違いや、漢字の変換ミスが起きやすくなります。 1文字でもテキストを変更・追加する箇所がある場合は、赤字の位置指定に加えて、メール本文やテキストファイルにそのままコピー&ペーストできる正確な文字列を添えて渡すと読み間違いを減らせます。

まとめ:修正工程は「読み手にとってのわかりやすさ」を磨く共同作業

デザインの修正依頼は、発注者とデザイナーが「どうすればチラシを手にした地域の人に、魅力が誤解なく・気持ちよく伝わるか」をすり合わせていく大切な工程です。「どこに課題を感じているか」という目的の共有と、整理されたテキストでの赤字指示があれば、少ないやり取りで納得のいく紙面へと仕上げることができます。

ASOBOADのチラシ・フライヤー制作では、初校ご提案後の修正段階においても、「ここをもっと目立たせたい」「文章量を調整して読みやすくしたい」といったご相談に対し、紙面全体のバランスを考慮した改善案をご提案しています。初めてのチラシ制作で指示の出し方に不安がある場合も、専任スタッフが丁寧にお伺いしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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執筆・編集ASOBOAD編集部

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