8ページや16ページといった複数ページにわたる会社案内・パンフレットは、1枚のチラシに比べて掲載する文字数や数字、固有名詞の量が格段に多くなります。そのため、「制作中は社内の5人で回覧して何度もチェックしたはずなのに、納品された箱を開けてみたら代表者名の漢字が違っていた」「目次のページ番号と実際のページがズレていた」といった誤植が起きると、刷り直しや訂正の対応が必要になります。

誤植に気づいた時点でシール貼りや刷り直しを行えば、余計なコストがかかるだけでなく、展示会や商談の予定日に間に合わなくなる恐れもあります。なぜ複数人で確認しても見落としが起きるのか、その原因を紐解き、社内回覧の盲点をなくす「役割分担の仕組み」と校了前の最終チェック手順を整理します。

社内で複数人に回覧しても誤植が見落とされる「2つの原因」

回覧した人数だけでは、どの情報が原資料と照合されたかはわかりません。以下は、確認の担当や方法が曖昧なときに起きやすい見落としの例です。

1. 「誰かが細かく見ているだろう」という集団回覧の盲点

デザイン案(校正PDF)を社内メールやチャットで複数人に一斉共有し、「何か気づいた点があれば連絡してください」と依頼すると、全員が同じように「デザイン全体の雰囲気」と「自分が関心のあるページの本文」だけを流し読みしてしまいがちです。

結果として、裏表紙に小さく書かれた郵便番号やFAX番号、沿革ページの西暦と和暦の対応、取引先名の正式表記(大文字・小文字や中黒の有無など)を「1文字ずつ元の資料と突き合わせる作業」を誰も行わないまま、全員から「問題ありません」という返事が集まってしまう現象が起こります。

2. 画面では文章を読み、原寸では紙面全体を確認する

画面の拡大表示は細かい文字の確認に向いていますが、文字の実際の大きさや、見開き・折り目との位置関係はわかりにくいことがあります。拡大して読む確認と、原寸で使いやすさを見る確認を分けます。

表紙タイトルや大見出しも確認対象に入れます。本文だけを照合したあとに、大きい文字を別に読み直す手順にしておくと、見出しの確認漏れに気づきやすくなります。

「全員でなんとなく見る」のをやめる、3つの役割分担(観点別校正)

限られた人数と時間のなかで見落としを減らすには、1人が1回ですべての要素を見ようとするのではなく、確認する「観点(役割)」を3つに分けてチェックする体制が有効です。3人で手分けしてもよいですし、担当者が1人で3回に分けて(1回目は固有名詞だけ、2回目は数字だけ、3回目は文章だけを見るというように)チェックしても効果があります。

① 「固有名詞・連絡先・ファクト」の原稿照合係

文章の流れは読まず、記載されている事実データだけを公式資料(登記簿、Webサイト、名刺など)と1文字ずつ指差しで照合する役割です。

  • 人名・社名の漢字と表記: 代表者や役員、導入事例の登場人物の氏名に異体字(﨑/崎、髙/高、邊/邉、齋/斎など)の間違いがないか。また、株式会社の位置(前株・後株)やアルファベットの大文字・小文字、ハイフンの有無が正確か。
  • 住所・電話番号・URL・QRコード: 郵便番号と住所の番地、電話番号・FAX番号を実際に声に出して読み上げ、QRコードは必ずスマートフォンのカメラで読み取って正しいページが開くかをテストします。

② 「数字・単位・日付・整合性」の計算照合係

紙面上のあらゆる「数字」と「対応関係」だけを追いかける役割です。

  • 年号と数字の整合性: 会社沿革の西暦と和暦(昭和・平成・令和)の対応が合っているか、創業年数と設立年の計算が矛盾していないか、構成比を示すグラフは合計と丸め誤差の注記が合っているか(複数回答の集計など、合計が100%にならないデータは分けて扱います)。
  • 目次とページ番号(ノンブル)の一致: パンフレット特有のミスとして、制作途中でページの順番を入れ替えた結果、「目次に書いてあるページ番号・見出し名」と「実際の本文ページ」が食い違ってしまうケースがあります。目次と各ページの隅にあるページ番号を必ず突き合わせます。

③ 「文章の流れ・表記ゆれ・デザイン崩れ」の通読係

読み手の立場で最初から最後まで通読し、違和感や表記のバラつきを見つける役割です。

  • 表記ゆれの統一: 同じパンフレットのなかで「お問合せ/お問い合わせ」「1000円/1,000円(カンマの有無)」「サーバー/サーバ」「行なう/行う」などの表記が混在していないか。
  • 見開き・折り目の確認: 中綴じ冊子や二つ折り・三つ折りパンフレットにおいて、ページをまたぐ写真や文字が折り目(ノド)に巻き込まれて読みづらくなっていないか。
資料を突き合わせて確認する打ち合わせの様子

校了(印刷発注)の直前に行う「紙出力・モックアップ」での最終チェックリスト

画面上での修正がすべて終わり、いよいよ印刷へ回す「校了」の直前には、可能であれば原寸(100%サイズ)で紙にプリントアウトし、実際のパンフレットと同じ順番に折って重ねた状態(簡易的な束見本・モックアップ)を作って最終確認を行います。紙に出力して赤ペンを持ち、定規を当てながら1行ずつ読むだけで、文字サイズや折り目の位置を、画面とは違う観点から確認できます。

チェックの分類 校了前に紙面で指差し確認したい具体的な項目
大見出し・表紙 ・表紙・裏表紙のタイトル、社名、ロゴの配置に誤りや欠けはないか
・各ページの「一番大きな見出し」を1文字ずつ音読して脱字がないか確認したか
連絡先・Web誘導 ・住所、電話番号、FAX番号、メールアドレス、営業時間・定休日は最新か
・紙に印刷した状態のQRコードをスマホで読み取り、正しいURLへ遷移するか
ページ構成・ノンブル ・折って重ねたとき、ページ番号(1, 2, 3...)の順番と裏表の向きが正しくつながるか
・目次のタイトルと各ページの見出し・ページ番号が完全に一致しているか
数値・単位・法規 ・価格の税込/税抜表記、面積(㎡・坪)、重量(kg・t)などの単位に誤りはないか
・必要な許可・登録・認証の名称、番号、有効期間、正式表記が原資料と一致しているか
写真・図解の整合性 ・写真の左右反転(制服の合わせや看板文字の反転)や、キャプションの入れ違いはないか
・図解の矢印の向きや、グラフの凡例の色と本文の説明が一致しているか

正確な情報と美しい紙面で企業の信用を守るために

誤植のない端正なパンフレットは、それ自体が「細部まで丁寧な仕事をする会社である」という無言の信頼証明になります。社内で確認する際は「誰がどの観点を見るか」を決め、最後に紙へ出力して声に出して読むひと手間を設けることで、安心して印刷工程へ進めることができます。

ASOBOADのパンフレット・会社案内制作では、読みやすく整理されたデザイン制作はもちろん、初校提出から修正・校了に至るまでの進行管理や、印刷前のデータチェック(塗り足し・解像度・フォント・ページ順の確認)まで丁寧にサポートしています。「ページ数が多くて社内のチェックだけでは不安」「既存の会社案内の情報を最新化して刷り直したい」といったご相談も承っていますので、ぜひお気軽にお声がけください。

修正前後のPDFがある場合は、Acrobat Proのファイル比較機能も補助として使えます。比較結果だけで校了とはせず、確認対象や表示設定を見たうえで、原稿との照合を行います。

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この記事の執筆・運営について

執筆・編集ASOBOAD編集部

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