


スリリングな世界をデザインした「赤い」映画紹介パンフレットデザインです。
「幻覚」をテーマにした2つの同時上映作品を紹介する映画パンフレット。2つの作品は別のストーリーながら、同じテーマを共有し、同じ「赤」をテーマカラーにしています。
テーマカラー「赤」の深い意味
「赤」は人間にとって自分の中に流れる血の色。胎児が母の胎内にいる間は安心できる色でも、一度外に流れ出てしまえば、自分の命の危険を感じる警告色です。
狂気の物語、2つの異なるストーリー
人間の極限状態を「幻覚」と「赤」をテーマに描いた2つの作品は、まさに狂気の物語。主人公の男性の横顔を黒と赤の2色で見せる表紙に始まり、パンフレットの中ページもすべて赤がベース。写真とイラストを巧みに使い、作品に込められた制作者の思いや細かな設定の数々を掲載することで、息つくことが許されない緊迫した作品の世界を隅々まで解説し再現しています。


映画の世界観を反映させたパンフレットで意識している「色彩心理の活用」
映画のパンフレットで重要なのが「世界観」です。映画が持つ独特の世界観に観た人をパンフレットでさらに引きこむためには「色彩心理の活用」が効果的です。
色彩心理とは、その色を見た人が感じる心理的な作用のこと。この作用を効果的に活用することによって、映画とパンフレットが相乗効果でより魅力的なものになるのです。色彩心理をデザインに反映させるうえで重要なのが「メインカラー」と「モチーフ」です。
映画のテーマに合わせた色をパンフレットのメインカラーにする
パンフレット制作において、最初に決めるのは映画の世界観を反映させた「メインカラー」です。メインカラーに合わせてデザインを作ることで、パンフレットに統一感が生まれ、パンフレットと映画へ没入しやすくなるでしょう。
作例では「赤」をメインカラーにしています。スリリングな映画の内容を警告色でもある赤を中心にデザインしました。テキストの背景色に赤を使うことで、より映画の世界観を体感できるようにしています。
映画の内容に合わせてパンフレットのメインカラーを決めることで、どのような内容の映画なのかがおおよそイメージできるでしょう。たとえば失恋や哀しさがテーマなのであれば青。青春ストーリーであれば緑といった具合に、色から物語をイメージしやすいようなカラーリングが効果的です。
メインカラーに埋もれない存在感のあるモチーフを活用する
赤のような強烈なインパクトを与える色のなかで、存在感のあるモチーフをデザインに加味するのは世界観を表現するうえでも重要です。強烈なベースカラーに埋もれないようなモチーフであり、なおかつ映画の世界観を連想できるモチーフでなくてはいけません。
作例では赤富士と人物のシルエットをモチーフで採用しました。スチール写真だけではなくグラフィックも活用することで、世界観をより引き立てるようにデザインしています。
色彩心理の活用はパンフレット全体のバランスが大事
色彩心理をパンフレットデザインに活用するためには、全体のバランスも重要です。装飾を重ねすぎず、シンプルにもなりすぎないバランスが映画の世界観をより鮮明に映しだしてくれるでしょう。
制作中綴じ冊子・パンフレットデザインに対する感想
VOICE ※第三者による感想です
深みのある赤とそれを飲み込む黒のダークで幻想的な映画パンフレットのデザイン
赤から黒へのグラデーションが意識される耽美的な配色がパンフレットデザインの肝
血液を連想させるダークなトーンの赤。時に黒と明確なコントラストを描き、時に暗いグラデーションとなって見る人を映画の世界に引き込みます。圧迫感さえ感じそうな世界観ですが、スチール写真やイラストをテンポよく配置することで目が疲れないような紙面に。俳優陣の紹介ページは、赤と黒でつくられた陰影が印象的です。
パンフレット内のテキストはほぼ白で統一し、視認性を保つ
赤や黒ベースはテキストが読みにくいと感じることもありますが、このパンフレットデザインでは文字色を白に統一。かっちりとした読みやすいフォントを使うことでさらに読みにくさの解消をはかっています。俳優の名前や見出しは大きく構成し、地の文とのバランスを意識。赤に溶け込まないテキスト色は、照明の明るくない映画館でも見やすそうです。映画の「幻覚」と「赤」といったテーマを体現しながらも、パンフレットとして不可欠な「情報」をおろそかにしない構成、デザインといえるのではないでしょうか。
「一色で染め上げる」映画パンフレット ― 赤が生み出す没入と緊張
映画のパンフレットのカラーデザインは、作品のジャンルや世界観を読者にダイレクトに伝える役割を持っています。この作例では、「幻覚」をテーマにした2つの同時上映作品を1冊のパンフレットで紹介しており、全ページを赤と黒で統一するという徹底した色使いが施されています。
「単色の徹底」がもたらす心理効果
パンフレット全体を赤一色で染め上げるという選択は、かなり大胆です。通常、パンフレットはページごとに色調を変えることで視覚的な変化をつけ、読者を飽きさせない工夫をします。しかし、この作例ではあえてその常識を破り、どのページを開いても赤が視界に入り続ける設計になっています。
これは「没入感」を狙った手法です。赤は人間の心拍数を上げ、覚醒度を高める色とされています。映画の「幻覚」というテーマは、観る者の意識を不安定にする性質を持っていますが、パンフレットを読んでいる間も赤に包まれ続けることで、作品世界の緊張感が持続します。
黒背景と赤背景の使い分け
全体が赤系統であるとはいえ、単調にならないよう黒背景のページも混在しています。既存本文で触れられている通り、表紙では主人公の男性の横顔が黒と赤の2色で表現されています。
この黒と赤のコントラストが生む効果は「暗闘」です。黒が支配する領域に赤がにじみ出る ―― あるいは赤の領域に黒が侵入する ―― という視覚的な緊張関係が、「幻覚」という作品テーマの不安定さを体現しています。黒から赤へのグラデーションは、映画の中で現実と幻覚の境界が曖昧になっていく過程を暗示するかのようです。
赤富士とシルエット ― グラフィックの象徴性
この作例では、写真だけでなく赤富士や人物のシルエットといったグラフィック要素も取り入れられています。スチール写真は映画の「リアルな一場面」を伝えますが、グラフィックは「象徴」や「抽象概念」を伝えます。
赤富士は日本的な文脈で「吉兆」とも「不吉」とも解釈される両義的なモチーフです。人物のシルエットは、顔が見えないがゆえに「誰でもあり得る」という普遍性を帯びます。これらのグラフィックが、写真の合間に差し込まれることで、パンフレットは「映画の記録」を超えて「映画の世界そのもの」を再現する装置になっています。
白いテキストという「呼吸」
全面赤と黒の紙面の中で、テキストはほぼ白で統一されています。この白いテキストは、視覚的に赤の圧迫感から一時的に解放される「呼吸」の役割を果たしています。もし赤地に黄色や金色のテキストを使っていたら、紙面のテンションが上がりすぎて、長時間の読書に耐えられないデザインになっていた可能性があります。白を選ぶことで、強烈な世界観の中にも「読める」という実用性が担保されています。
※掲載のパンフレット・冊子は実際の内容や最新情報と異なる場合がございます。
※掲載しているパンフレットのデザインサンプル・モックアップはイメージです。実際のサイズ・仕上がりとは異なる場合がございます。
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