2024年秋頃の施行が見込まれ、フリーランスの働き方に大きな影響を与えると期待された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、通称「フリーランス保護新法」。しかし、2025年を迎えた今、多くのフリーランスがその効果を実感するには至っていないようです。本記事では、最新の調査結果から見える現状の課題と、フリーランス自身がこの新しい法律をどう活用していくべきか、具体的なアクションを考察します。
「影響実感なし」が約9割:フリーランス保護新法の浸透状況
GMOインターネットグループが2025年1月に発表した調査によると、フリーランス保護新法について「影響を実感していない」と回答したフリーランスが約9割にものぼりました。この結果は、法律の認知や理解、そして実際の取引現場への浸透がまだ道半ばであることを示唆しています。
フリーランス協会が発表した「フリーランス白書2025」でも、同法に関するフリーランスの認知度や取引先とのコミュニケーション状況などが分析されており、法律の趣旨が十分に理解され、活用されるまでにはまだ時間が必要であることがうかがえます。フリーランス協会公式note(2025年1月掲載)でも、2025年は引き続き発注者側への法律周知を進めると同時に、フリーランス自身が法律を「盾」として活用するために内容を把握し、行動する必要性が強調されています。
なぜ影響を実感しづらいのか?考えられる要因
法律の施行から日が浅いことに加え、以下のような要因が影響していると考えられます。
- 法律内容の認知・理解不足:フリーランス自身、そして発注者側の企業担当者が、法律で定められた具体的な義務(取引条件の明示、一方的な契約変更の禁止、60日以内の報酬支払いなど)を十分に理解していない可能性があります。
- 取引慣行の変化への時間差:長年の商習慣や力関係がすぐに変わるわけではなく、法律の趣旨が実際の取引に反映されるまでには時間がかかります。
- 声を上げることへのためらい:不利な条件を提示された場合でも、今後の取引への影響を懸念し、発注者に対して意見を言い出しにくいフリーランスも少なくないでしょう。
- 相談窓口や紛争解決メカニズムの認知度:トラブルが発生した際の相談先や、法律に基づいた解決手段が十分に知られていない可能性も考えられます。
フリーランスが取るべき3つのアクション
フリーランス保護新法は、フリーランスがより公正な条件で安心して働ける環境を作るための重要な一歩です。この法律を絵に描いた餅にせず、自らの権利を守り、働きやすい環境を築くためには、フリーランス自身が主体的に行動することが不可欠です。
【知る】法律の正しい理解を深める
まずは、フリーランス保護新法で何が定められているのかを正確に理解しましょう。具体的には、発注者に対してどのような義務が課され、フリーランスにはどのような権利が保障されるのかを把握することが重要です。信頼できる情報源(官公庁のウェブサイト、フリーランス協会などの専門機関の情報)を参考に、必要な知識を身につけましょう。
チェックポイント:取引条件の書面等による明示、報酬の遅延防止(60日以内支払い)、一方的な受領拒否や減額の禁止、募集情報の的確な表示など。
【伝える】取引先とのコミュニケーションを意識する
新しい契約を結ぶ際や、既存の取引条件で見直すべき点がある場合は、法律の趣旨を踏まえて、臆せずに取引先とコミュニケーションを取りましょう。例えば、「フリーランス保護新法に基づき、業務内容と報酬について書面での明示をお願いできますでしょうか」といった形で、丁寧かつ具体的に伝えることが大切です。最初から対立的な姿勢ではなく、相互理解と建設的な対話を目指しましょう。
【備える】万が一のトラブルに備える
残念ながら、法律があってもトラブルが完全になくなるわけではありません。契約書の内容をしっかり確認し、不利な条項がないかチェックする習慣をつけましょう。また、トラブルが発生してしまった場合の相談窓口(フリーランス・トラブル110番など)や、少額訴訟などの法的手続きについても事前に情報を得ておくと安心です。日々の業務記録(メールのやり取り、作業時間、納品物の控えなど)を証拠として残しておくことも重要です。
発注者側にも求められる変化
フリーランス保護新法の効果を最大限に引き出すためには、フリーランス個人の努力だけでなく、発注者側の意識改革と適切な対応も不可欠です。法律の遵守はもちろんのこと、フリーランスを対等なビジネスパートナーとして尊重し、公正な取引関係を築く姿勢が求められます。
フリーランス保護新法は、フリーランスと発注者の双方がより良い関係を築き、共に成長していくための基盤となる法律です。2025年、フリーランス一人ひとりがこの法律を正しく理解し、賢く活用していくことで、より安心して活躍できる社会の実現に近づくことができるでしょう。
— 参考資料(出典)
- GMOフィナンシャルホールディングス株式会社「約9割がまだ影響を実感せず~2025年、フリーランスは「自由」より「収入」を重視する傾向に」- https://gmo-cn.jp/news/227/
- 一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「【プレスリリース】「フリーランス白書2025」を発表〜フリーランスの実態・ホンネが明らかに」- https://blog.freelance-jp.org/20250331-23631/
- 一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 公式note「2025年は「偽装フリーランス」と「社保」に注目!」- https://note.com/frepara/n/n46cec54ccb7f
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