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オンラインプラットフォーム

フリーランスの仕事獲得はどう変わる?国内外の最新データで見る受注方法と人気プラットフォーム


柔軟な働き方が注目されるなか、企業とフリーランスを結ぶオンラインプラットフォームも急成長し、新しい仕事の獲得方法が広がっています。しかし、実際にフリーランスの仕事の受注経路はどのように変化しているのでしょうか?また、どのプラットフォームが人気を集め、どのように活用されているのでしょうか?

この記事では、最新の国内外の統計データを中心に、フリーランスが仕事を獲得する主な方法や、利用されているプラットフォームの状況を解説します。フリーランスとして活動する方や、これから独立を考えている方にとって、有益な情報をお届けします。

 

フリーランス市場の現状(国内・海外の概要)

フリーランスたち

世界的なフリーランス人口の増加

世界的にフリーランス人口は増加傾向にあります。例えば米国では、2023年に6,400万人が何らかのフリーランス業務に従事し、これは全労働人口の38%に達しました 。米国のフリーランス労働者の年間収入合計は1.27兆ドルにも上り、柔軟な働き方としてその存在感を高めています。世界全体でもフリーランス市場規模は約1.5兆ドルと推定され、年間15%の成長率で拡大しています。

Freelance Forward 2023 | Upwork

日本のフリーランス人口と経済規模

日本においてもフリーランス人口は増加しています。定義によって数字は異なりますが、内閣府の調査では約306万~341万人(就業者の約5%)がフリーランスとして働いていると推計されています。副業や兼業も含めた広義のフリーランス人口では、2015年から2021年に640万人増加し、フリーランス経済規模も9.2兆円(62.7%増)に達したとのデータもあります。これは日本でも従来の終身雇用型の働き方から、より柔軟な働き方へシフトする動きが強まっていることを示しています。

欧州・新興国における伸び

欧州でもフリーランス人口は増えており、フランス約102万人、スペイン約75万人など、各国で直近10年で大幅な伸びを見せています 。インドでは約1,500万人がフリーランスとして働いているとの推計もあり、新興国を含め世界的な潮流と言えます。

57+ Freelance Statistics, Trends and Insights (2024)

 

仕事の受注方法の実態とトレンド

仕事の受注方法

人脈・紹介が主要な経路

フリーランスが仕事を獲得する方法としては、国内外ともに人脈や紹介(口コミ)が重要な位置を占めています。グローバルな統計では、91%のフリーランスが過去のクライアントや知人からの紹介によって仕事を得ているとの調査結果もあります。

54 Noteworthy Freelance Statistics for 2023

多くのフリーランサーにとって新規クライアントの開拓は課題であり、ある世界調査では73%のフリーランスが「新しいクライアント探しが課題」と感じています 。このように、プラットフォームの活用が広がってはいるものの、信頼関係に基づく直接契約やリファラル(紹介)が引き続き仕事獲得の主要経路となっています。

The 2023 Freelancer Report: Takeaways for small businesses | Payoneer

日本のフリーランス市場でも同様に、人脈・紹介が大きな比重を占めています。フリーランス協会の「フリーランス白書2023」によれば、直近1年で「もっとも収入に繋がった仕事獲得経路」は「人脈(友人・知人の紹介等)」が33.6%と最多で、次いで「過去・現在の取引先からの直接発注」33.5%がほぼ同率となっています 。

エージェントサービスの台頭

一方で、エージェント(人材仲介)サービス経由が12.4%と3番目に位置し、コロナ禍以降に割合が上昇した経路として定着しています 。これに対し、クラウドソーシング(オンラインプラットフォーム)経由で最も収入を得たと回答した人はわずか4.6%にとどまりました 。つまり日本では、オンライン上で不特定の案件に提案するよりも、既存の繋がりや代理店的サービスを通じた受注が主流である実態が伺えます。

コロナ禍の影響と複数サービス活用

この傾向はコロナ禍前後で変化も見られました。コロナ以前はフリーランスの収入源として「人脈」がトップでしたが、感染拡大以降は対面での繋がり機会減少もあって割合が低下し、その穴を埋める形でエージェント経由の仕事獲得が増加しました 。現在は人脈・取引先ルートが依然トップであるものの、専門エージェントサービスの活用も重要性を増しています。加えて、エージェントを利用するフリーランスは複数サービスに登録するケースも多く、「3社のエージェントに登録」が最も多いという調査結果もあります 。案件獲得機会を広げるため、複数の経路を並行して活用する戦略が取られているようです。

 

フリーランス向けプラットフォームの利用状況と人気サービス

フリーランス向けプラットフォーム

海外主要プラットフォーム

近年、企業とフリーランス人材を結ぶオンラインプラットフォームが国内外で多数登場し、市場が形成されています。海外の主要プラットフォームでは、Upwork(アップワーク)が世界最大規模で、登録フリーランサー数は1,600万以上、年間収益は20億ドルを超えています。世界シェアでもUpworkが13.6%で首位を占めており、次いでEnvato Studio(10.1%)やFiverr(7.4%)、TaskRabbit(6.4%)などが続きます。

スキルシェア・クラウドソーシング業界の市場シェアの分析 | deallab

たとえばFiverrは世界196か国で利用され年間300万件以上の仕事案件がやり取りされており、Freelancer.comは登録ユーザー数が3,100万を超える規模です。これらプラットフォームは、企業側にとっても専門人材をプロジェクト単位で調達できる場として定着しつつあります。実際、アジア太平洋地域の企業を対象にした調査では、84%の企業がフリーランス活用(業務アウトソース)の経験があると報告されています。

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国内クラウドソーシングの拡大

国内の主要プラットフォームとしては「クラウドソーシング」と呼ばれるサービス群が発展してきました。代表格のクラウドワークスは日本最大級のオンライン人材マッチングサイトで、累計登録フリーランス数約588万人、クライアント企業数約93万社を抱えています。クラウドワークスはプラットフォーム型とエージェント型の両モデルを展開し、2023年9月期の流通取引額(GMV)は過去最高の1,000億円規模に達したとされています。同じく大手のランサーズでは、累計登録者数が260万人超(2023年11月時点)で、これまでに700万件以上のマッチング成立実績があります。またスキルマーケット型のココナラなど他のサービスも急成長しており、日本のオンライン案件仲介市場は拡大を続けています。

市場シェアとフリーランス側の活用動向

市場シェアの観点では、国内クラウドソーシング業界全体の中でクラウドワークスが約22%、ランサーズが約20%を占めるとの分析があります。ココナラなどを含めた主要サービスで市場の大半を占めており、各社とも年率20~30%を超える勢いで取扱高を伸ばしています。

プラットフォーム利用頻度についてフリーランス側から見ると、前述のように複数のサイトに登録し案件を探す人も多い一方、「直接契約の方が収入が良い」「手数料負担が重い」といった理由でプラットフォームへの依存度は限定的との指摘もあります。実際、日本ではオンライン経由で収入を得ている割合はまだ一部に留まっており、プラットフォームは補完的な役割といえそうです。

ただし今後、企業側の受発注ニーズやリモートワーク普及により、オンラインプラットフォームの役割はさらに増す可能性があります。特に専門人材を迅速に確保したい企業にとって、実績レビューやスキルで検索できるマッチングサイトは貴重な手段です。フリーランス側も自ら営業しなくとも案件にアクセスできる利点があるため、上手に活用すれば新規クライアント開拓の有力なチャネルとなるでしょう。

 

まとめと今後の展望

オンラインプラットフォーム

フリーランス市場拡大と残る課題

フリーランスという働き方は、日本国内・海外ともに拡大しつつあり、その市場規模や人口は増加の一途をたどっています。仕事獲得経路を見ると、依然として直接取引や紹介が主要ですが、オンラインプラットフォームやエージェントといった新しい手段も確実に存在感を増しています。特に専門性の高い分野では、プラットフォーム経由で効率良く案件を得るフリーランスも増えてきました。

一方で、フリーランスが安定して活躍するための課題も残ります。報酬の未払いリスク交渉力の弱さ社会的な保障の不足といった点です。日本政府もこうした課題に対応すべく、フリーランス取引の適正化や保護を目的としたガイドライン策定や新法整備に乗り出しています。企業と個人事業主の取引透明性を高める「フリーランス新法」もスタートしており、今後フリーランス環境はより健全で働きやすい方向へと向かう期待があります。

これからのフリーランスの可能性

総じて、フリーランス市場は「柔軟な働き方ニーズの高まり」を背景に今後も拡大すると見込まれます。フリーランスやデザイナーにとっては、人脈づくりやスキル向上と並行して、適切なプラットフォームを活用することで仕事獲得の機会を最大化できるでしょう。また企業側も優秀な人材確保の選択肢としてフリーランス活用を一層模索する動きが予想されます。国内外の最新データからは、フリーランスという働き方が着実に市民権を得ており、今後ますます主流の働き方の一つとなっていくことが示唆されています。

 

— 参考資料(出典)