「深海のサイクル」に込めた想い
この度は「深海のサイクル」へお越しいただき、誠にありがとうございます。このサイトは、皆さんに気軽に楽しんでもらうための、ささやかな「お絵描きサイト」です。仕事や勉強の合間のちょっとした息抜きに、あるいは眠る前のぼーっとした時間に、ただ無心で線を描いて、それが泳ぎだす様子を眺めてもらえたら。そんな思いから、この小さな海の世界は生まれました。
難しいことは何もありません。描画エリアに好きな線を一本引いて、「生物を作る」ボタンを押すだけです。あなたの描いた線が、ふわりと命を吹き込まれ、静かな海へと旅立っていきます。まずは何も考えず、このささやかな変化を楽しんでみてください。
隠された「こだわり」と、生命のルール
…と、ここで終わればシンプルな「お絵描きサイト」なのですが、もしもう少しこの世界の裏側に興味が湧いたなら、僕がこっそり仕込んだ「こだわり」や「遊び心」について、少しだけお話しさせてください。
実は、あなたが描いた一本の線がどんな生物になるかは、完全にはコントロールできません。偶然によってその役割が決まります。俊敏で小さな魚の群れになることもあれば、堂々とした優しい海の主になることもあるでしょう。これは、僕たちが何かを「創造」するときの感覚に似ているかもしれません。完璧に意図した通りにはならないけれど、その偶然性こそが、時に私たちの想像を超える面白さや愛おしさを生み出してくれる。そんな感覚を、この海で体験してもらえたらと思いました。
また、この海に生まれる生物たちは、ただ右から左へ泳ぐだけではありません。彼らには、ごく単純な「生命らしさ」のルールが与えられています。
気まぐれな行動
生物たちは、時に力強くダッシュしたり、ふと思い出したかのように立ち止まったり、仲間と合流すると群れを作って行動したりします。その動きは、書かれたコードのロジックと、ランダムな気まぐれの組み合わせで生まれる、二度と同じにはならないものです。
小さな生態系
この静かな海にも、ちょっとした食物連鎖が存在します。生命が増えると少しづつ海は豊かになり、「プランクトン」が発生します。暗い海に星のように漂うプランクトンは、生命たちの貴重な餌となります。また、ごく稀に生まれる、「プレデター(捕食者)」。彼らは他の魚を追いかけ、捕食します。でも、ただの悪役ではありません。彼らもまた、数匹の魚を食べると満足し、自ら海の底へと還っていくという運命を背負っています。
優しい関係性
一方で、「ジェントルジャイアント(穏やかな巨人)」と名付けた大きな生物の周りには、なぜか他の小さな魚たちが集まってきます。捕食者から逃げる魚たちの、つかの間の安息地になっているのかもしれません。
こうした一つ一つの相互作用が絡み合い、この海には常に予測不能な物語が流れ続けています。それは僕自身にも完全には予測できません。だからこそ、時々この海を訪れては、新しく生まれた生物たちがどんなドラマを繰り広げているのかを眺めるのが、僕自身の楽しみにもなっています。
「サイクル」に込めた、儚さというテーマ
このサイトのタイトルを「深海のサイクル」にしたのには、もう一つ理由があります。それは、この海における「生命の有限性」を表現したかったからです。
皆さんが生み出した生物たちは、残念ながら永遠に生き続けるわけではありません。捕食者に食べられてしまうこともあれば、仲間が増えすぎると、古くからいる者から順に、そっと姿を消していきます。消えゆく時は、光を失い、ゆっくりと海の底へ沈んでいく。まさに、海の泡に還るかのように。
デジタルデータは、本来なら半永久的に存在できるものです。しかし、あえて「消える」というルールを加えたのは、その「儚さ」にこそ、生命の本質的な美しさが宿ると考えたからです。いつかはいなくなってしまうと知っているからこそ、今ここで泳いでいる一つ一つの存在が、かけがえのないものに思えてくる。自分の描いた一本の線から生まれた、名もなきデジタル生命体の、その短い一生を見守る。その体験を通じて、鑑賞者であるあなたの創造行為が、この生まれては消えゆく大きな「サイクル」の、間違いなく一部になるのです。
またいつでも、この海へ
…なんて、少しだけ小難しい話もしてしまいましたが、忘れてください。このサイトの根っこにあるのは、あくまで「気軽に楽しめる」という想いです。
UIを隠してフルスクリーンでぼーっと眺めたり、お気に入りの一体をズームで追いかけてみたり、心地よいBGMに耳を傾けながら、ただただ新しい生物を生み出し続けたり。楽しみ方はあなた次第です。
あなたの描くその一本の線が、この小さな海にどんな色を加え、どんな物語を生み出すのか。それを眺めるのを楽しみにしています。
どうぞ、またいつでも気軽に、この静かな海へ遊びに来てくださいね。