芝浦工業大学(東京都港区/学長 村上 雅人)工学部電気工学科重宗 宏毅助教ら研究チームは、標準的なインクジェットプリンタを利用して、紙へ自律的に折り畳む順序をプログラムし、構造や動きの印刷を可能にしました。紙のセルロース繊維と印刷する薬液の反応をエネルギーとして、自律的に立体構造が形成され、さらに動き出すソフトロボットの開発に成功しました。
構造や動きを印刷することで、柔らかくもろい製品の立体的な包装に活用したり、太陽電池パネルを常に太陽に向かせることでエネルギー収集量を増やしたり、技術の幅広い応用が期待されます。

 

■ポイント

・インクジェットプリンタで印刷後、紙が自律的に動き折り畳まれる方法を確立

・濃度の違う薬液をインクに使用し、折り畳み順序や折り畳み位置の指定が可能

・折り畳み動作には、電力などの外部エネルギー源は不要

A)薬液濃度の異なるインクを戦略的に印刷することで、各折り目の位置や折るタイミングを制御することができる。

C)紙はしごを傾けたり、掛けたり、引っ込めたりする様子。

 

Programming Stepwise Motility into a Sheet of Paper Using Inkjet Printing
Shigemune et al. (2020)
Advanced Intelligent Systems
DOI:10.1002/aisy.202000153
Under Creative Commons license CC BY 4.0

 

■研究概要

植物の駆動メカニズムを模倣し、紙が自動的に折り畳まれ、折り紙構造を作り出す方法を確立しました。標準的なインクジェットプリンタのインクカートリッジに薬液を入れ、紙に単純な直線を印刷することで、線を起点に紙が自動的に折り畳まれます。そして、濃度の違う薬液をインクカートリッジに設置することで、折り畳みの順序付けを可能にしました。それに伴い、薬液の濃度と折り畳み時間の関係性についても解明しました。カートリッジの数を増やすほど、より多くの動きを紙に対してプログラムできる可能性があります。

 

■今後の展開

研究チームは今後、今回発表した「紙が自律的に折り畳まれる方法」と、以前発表した「電気配線を普通のプリンタで紙に印刷する方法」の二つの技術を組み合わせることに取り組みます。どちらも一般的なインクジェットプリンタを用いた手法で、特殊な機材を必要としていません。短時間で簡単に電子部品や紙製ソフトロボットなどの製作を可能にしていきます。

 

■論文著者

芝浦工業大学工学部電気工学科 重宗 宏毅助教

工学部機械機能工学科 前田 真吾准教授

早稲田大学理工学術院基幹理工学研究科機械科学専攻 岩瀬 英治教授

理工学術院先進理工学部応用物理学科 橋本 周司教授

理工学術院創造理工学部総合機械工学科 菅野 重樹教授

理工学術院先進理工学部応用物理学科 澤田 秀之教授

 

<論文情報>

論文名:Programming Stepwise Motility into a Sheet of Paper Using Inkjet Printing

掲載誌:Advanced Intelligent Systems

DOI  :10.1002/aisy.202000153

 

■研究助成

本研究はJSPS科研費(18H05473、18H05895、19K20377)と、早稲田大学助成金特定課題(2018S-125)の助成を受けたものです。

 

■芝浦工業大学とは

工学部/システム理工学部/デザイン工学部/建築学部/大学院理工学研究科

https://www.shibaura-it.ac.jp/

日本屈指の海外学生派遣数を誇るグローバル教育と、多くの学生が参画する産学連携の研究活動が特長の理工系大学です。東京都とさいたま市に3つのキャンパス(芝浦、豊洲、大宮)、4学部1研究科を有し、約9千人の学生と約300人の専任教員が所属。創立100周年を迎える2027年にはアジア工科系大学トップ10を目指し、教育・研究・社会貢献に取り組んでいます。