商品の形を考える上で、最初の足がかりになるのが手書きのスケッチです。工業製品のデザインには3D CADソフトが多く使用され、それが生産の設計図になりますが、その元となるのはやはり手描きのスケッチでしょう。形自体はもちろん、素材についての指示や使用状況もイラスト化するなど、ブラッシュアップのためのたたき台として、またプロジェクトに関わる全員に統一したイメージを持ってもらうための旗印でもあります。それ自体も美しい、商品企画のスケッチを集めてみました。

 

手書きの線から見えるこだわり

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こちらのイヤホンのスケッチは手書きの勢いが伝わってきます。どの曲線に神経を注いでいるのか、素材はどう言ったものを意図しているのかなども含めて伝わる、「語るような」設計図です。プラグからスイッチ、使用状況までまとめて一枚でプレゼンすることで、プロジェクトの他のスタッフにも「最終的にどう言ったものを作りたいのか」共有できます。実際の製品化までには3Dデータの作成や試作品のテストなど様々な段階を経て、問題をクリアしていく必要があるでしょう。最初にゴールを示すことで、チームの作るべきものを指し示してくれる「スタート」になるスケッチです。

 

靴のデザインの試行錯誤が見えるスケッチ

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こちらはシューズのデザインを試行錯誤している様子のスケッチ。様々なバリエーションが検討され、それぞれの可能性を探っているのが伝わってきますね。的確なラインで描き出された線画はそれぞれを見ているだけでも楽しいものです。一枚一枚の絵は工業製品の正確さがありながら線が勢いよく飛び出している部分もあり、作り手の筆致が伝わってきます。このスケッチがそのまま広告にも使えそうな精度の高いスケッチです。

 

ペンとマーカーを使った昔ながらのスケッチ

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パソコンが普及する前は、細く均等な線がひけるロットリングなどのペンと、マーカーによる着彩が工業デザインの現場では支持されていたそうです。こちらのスケッチはそんな時代を思わせる少しレトロな雰囲気があります。ガラスの透け感や樹脂のツヤなども色数の少ないマーカーで巧みに表現されていますね。ペンとマーカーという昔ながらのスタイルは味わい深さがありつつ、きっぱりとした格好よさがあります。今この手法に立ち返ってみるのも面白いかもしれませんね。

 

風景や人物のスケッチには自然と勢いが出ます。モチーフ自体が動いてしまうことも頻繁で、スケッチはあくまで下絵という場合も多いでしょう。商品開発でのスケッチは、まだこの世にない、頭の中にインスパイアされた形を描き出して行くので、それほど急いで描く理由はないはずです。それでもスケッチに勢いにスピード感が宿るのは、頭の中に浮かんだイメージを描きもらさないように筆が急ぐのかもしれません。新しい形を提案する、手書きのスケッチには描き手のこだわりや手のスピード、考え方が表れます。

 

「デザインインスピレーション」のコーナーでは、日々のインスピレーションに繋がる広告デザインやアートワークを紹介しています。