Print fading simulator
紫外線を浴びた印刷物は、黄と紅が先に抜け、藍と墨だけが残って青白くなります。その過程を手元の画像で確かめるツールです。
あくまで簡易的なシミュレーションです。インキ各社の耐光性データにもとづく変化の向きと順序を再現するもので、実測値の予測ではありません。経過年数も算出しません。
暖色が抜け、青へ転ぶ
画像はドラッグ&ドロップ、貼り付けでも読み込めます。保存されるのは上のプレビューと同じ表示です。
プロセスインキ4色は、顔料の化学構造がまるで違います。黄はジスアゾイエロー(Pigment Yellow 12 / 14)、紅はブリリアントカーミン6B(Pigment Red 57:1)で、どちらもアゾ系顔料。分子の結合が紫外線で切れやすく、屋外用途には使用が制限される顔料です[3]。対して藍のフタロシアニンブルーと墨のカーボンブラックは、顔料自身の諸耐性が優れ、変退色の心配がほとんどありません[3]。
インキメーカー自身の耐光性試験でも、退色しやすい順は黄 → 紅 → 藍 → 墨と報告されています[1]。結果として暖色から順に失われ、藍と墨だけが残る。1ヶ月の屋外暴露試験でも、通常インキの刷本はイエロー・マゼンタが褪せ、シアン・ブラックが残って青白くなったことが確認されています[4]。退色したポスターをよく見ると黄と赤が無く青と黒だけが残っている、という観察はこのためです[5]。
もうひとつ、同じ版でもベタより網の薄い部分が先に飛びます。耐性表の判定値は濃色単体のものであり、淡色および混合色では耐性が1〜2段階低下すると注記されています[2]。「分版で見る」に切り替えると、どの版がどこから抜けていくかを版ごとに追えます。
最も直接的な手です。弱い黄と紅だけを耐光顔料に置き換えた耐光インキ・超耐光インキが各社から出ています[4][7]。1ヶ月の屋外暴露試験では、通常インキが青白く転んだのに対し、超耐光インキは元の刷本とほとんど見分けがつかなかったと報告されています[4]。ただし通常インキに比べて鮮やかさが低下するというトレードオフがあります[7]。
看板の現場では、インクジェットで出力したシートの上から紫外線カット効果のある透明ラミネートフィルムで保護する工程が採用されています[8]。ポスターやPOPでも、UVカットラミネート・UVカットニス・UVカットアクリルといった選択肢があります。インキそのものを替えられない入稿後の段階でも打てる手です。
南向きの直射と、軒下や北向きの壁面では浴びる量がまるで違います。ガラス越しでも褪色は進みますが、屋外の直射よりは緩やかです。掲示期間が長い掲示物ほど、この一手の効きが大きくなります。
インキだけでなく紙も焼けます。新聞紙や再生紙などリグニンを多く含む紙は、紫外線や酸素と反応して数日〜数週間で黄変や茶色化が進みます[9]。塗工紙(コート紙・アート紙)は表面のコーティングがある程度紫外線をブロックし、中性紙は紙自体が酸化しにくい性質を持ちます[9]。
インキの耐光性の差はデザイン段階で織り込めます。印刷会社側からも、CMYKの耐光性の特性を事前に知っておけば、藍と墨を中心にした耐光性を考慮したデザインが可能になると案内されています[10]。
ロゴやコーポレートカラーが赤・ピンク・オレンジ・紫の場合、屋外掲示ではまずそこから崩れます。長期の掲示物では、キーカラーを藍寄り・墨寄りに設計するか、その色だけ耐光性の高い特色を使う判断があり得ます。
耐性表の判定値は濃色単体のもので、淡色および混合色では耐性が1〜2段階低下します[2]。淡いピンクの背景や、薄い網で組んだ図版は、同じインキのベタより明らかに早く飛びます。上の「分版で見る」で、同じ版でも薄いほうから消えていく様子が確認できます。
白ヌキは紙の色そのものです。紙が黄変すると白ヌキ部分の明度が下がり、周囲との明度差=可読性が落ちます。屋外の長期掲示では、白ヌキよりも墨文字のほうが最後まで読めます。
カーボンブラックはほとんど褪せない色材です[3]。グレーや暗部をCMYの掛け合わせで作るより、墨版に多く置き換えた分版のほうが、理屈のうえでは褪色に強くなります。GCRの設定は印刷会社との相談事項になりますが、長期掲示物では検討の余地があります。
条件で桁が変わるため、一律には言えません。ただし6〜7月の強い紫外線を1ヶ月浴びた刷本が明確に青白く転んだ実験例があり[4]、YやMは10日ほど太陽光にさらされただけで退色してくるという記述もあります[6]。無保護の屋外掲示は、月単位で見た目が変わると考えておくのが安全です。
赤やピンクは紅(マゼンタ)と黄(イエロー)の掛け合わせで作られており、その二つがCMYKの中で最も紫外線に弱い色材だからです[1]。逆に青や水色は藍が主役なので、最後まで残ります。
製品と設置条件で幅が大きく、年数での保証はできません。ただしUVカット効果のあるラミネートは看板製作の現場で採用されており[8]、掲示期間が数ヶ月を超えるなら、費用対効果としてまず検討すべき対策です。
使えません。このツールは印刷インキのモデルです。銀塩のカラー写真(Cプリント)は逆に藍の色素から先に抜けるため、古い写真は赤茶けた方向へ変わります。向きが正反対です。
分かりません。時間軸は意図的に持たせていません。褪色の速さは方位・角度・表面加工・インキメーカー・膜厚で桁が変わり、参照した各社の記述も条件が揃っていないためです。再現しているのは変化の向きと順序だけで、提案時の説明用として使ってください。
いずれも2026年8月9日参照。なお本ツールは時間軸を持ちません。褪色の速さは設置場所・方位・表面加工で桁が変わり、上記各社の記述も条件が揃っていないためです。再現しているのは変化の向きと順序だけです。
本ツールは、インキ各社が公開している耐光性の傾向(イエロー・マゼンタが弱く、シアン・ブラックが強い)を単純な減衰モデルに落とし込んだものです。特定の銘柄について暴露試験を行った結果ではありません。実際の褪色は、インキメーカー・顔料グレード・インキ膜厚・印刷方式・乾燥条件・設置方位と角度・気温・湿度・降雨・大気汚染などで大きく変わります。
スライダーに時間の単位は割り当てていません。上記の通り褪色速度は条件によって桁が変わるため、年数を示すことは誤解を招くと判断しました。読み取れるのは変化の向きと順序、そして版ごとの相対的な進み方だけです。
分版処理はICCプロファイルを用いない簡易的な変換です。実際の網%やインキの重なりを正確に再現するものではありません。また表示色はご利用のディスプレイ・ブラウザ・カラー設定に依存するため、画面上の見え方と実際の印刷物は一致しません。
銀塩のカラー写真(Cプリント)はシアンの色素から先に抜けて赤茶ける方向へ変化し、本ツールとは向きが正反対です。塗料・染色・プラスチック着色などにも適用できません。
本ツールの出力は、耐用年数の保証や品質トラブルの証拠として使えるものではありません。屋外掲示物の仕様決定にあたっては、印刷会社やインキメーカーへ実際の条件を伝えてご確認ください。本ツールの利用によって生じたいかなる損害についても、制作者は責任を負いかねます。
画像の処理はすべてご利用のブラウザ内で完結します。読み込んだ画像がサーバーへ送信・保存されることはありません。